水道事業の民営化に反対する談話


当会は、2018年度第9回理事会において以下の談話を発表しました。

水道事業の民営化に反対する談話

2019年2月21日
宮城県保険医協会
理事長 井上博之
公害環境対策部長 島和雄

 WHOによると地球にいる人口の6人に1人、約12億人が安全に飲める飲料水を確保できておらず、水道水を安心して飲める国は世界に8ヵ国、その一つが日本と言われています。市町村の管理運営で営まれる水道事業とそのもとでの高い水質はまさに国民の宝と言えるものです。

 政府は昨年12月6日、水道事業を公設民営化する水道法改正案を可決成立させました。そして宮城県はコスト削減を理由に上下水道、工業用水の3水道事業を官民連携で運営する「みやぎ型管理運営方式」導入に向けた動きを加速させています。水、水道は国民のあらゆる日常生活のベースとなり、健康と命に直結するもっとも核心的な資源、事業として、その安定供給は社会構造の大前提となるものです。われわれ医療機関の日々の医療においても不可欠であることは言うまでもありません。このような核心的資源、事業はそもそもコストとの対比で語られるべきものではなく、コスト削減のために命の水を危険にさらすなど言語道断と言わなければなりません。

 世界では水道事業を民営化したために料金高騰、水質低下、施設未整備などの問題を来たし、失敗を認めて公設に戻すケースが後を絶たないことが報告されています。民間に任せるだけでなく官民によるコンセッション方式で運営するから大丈夫と言われますが、実態は運営権の売却であり民間丸投げです。しかも外国資本参入の可能性すら指摘されています。

 このまま民営化を進めることは、人々の健康が危ぶまれるばかりか、将来に大きな禍根を残すものと言わざるをえません。

 県民の健康、命を守る医師、歯科医師の団体として、宮城県の水道事業民営化方針に反対し撤回を求めます。国の水道法改正も白紙に戻すことを強く求めるものです。

 

※コンセッション方式とは
 国や自治体が公共施設などの所有権をもったまま、運営権を民間企業に売却するやり方。国や自治体には売却益が入り、運営のための財政負担がなくなる。
 民間企業はサービス内容や施設利用料の設定などで幅広い裁量が認められ、独立採算となる。
 地方自治体:所有権がある  民間業者:運営権がある

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