2019年12月 理事長挨拶


(2019年12月)

女川原発再稼働は絶対許せません

理事長 井上 博之


 11月27日、原子力規制委員会は、女川原発2号機再稼働に対して、事実上の「合格」を与えました。今後、「地元同意」が求められ、再稼働への動きが加速すると見られています。
 宮城県保険医協会は、当会の目的である、県民のいのちと健康を守る立場から、このような動きを断じて許すことができません。東北電力には再稼働を諦めるように求めます。県知事や県議会議員、各自治体にも働きかけたいと考えています。

 当会が、女川原発再稼働に反対する理由は次の通りです。
 第1に、福島第一原発事故から8年8か月、福島県民はじめ被害者の苦しみに寄り添って考えました。フクイチの事故原因が十分に解明されていない中で、同じ東日本大震災で事故寸前の事態になった女川原発を再稼働するなど言語道断だと言わなければなりません。
 第2に、女川原発が極めて危険な代物だということです。原子力規制委員会の新規制基準では、基準地震動は1000ガルとされています。しかし、宮城県で過去に起こった地震の記録を見てみると、それをはるかに超える最大加速度が観測されています。2003年の宮城県北部地震で2037ガル、2008年の岩手宮城内陸地震で4022ガルでした。それほど低い確率ではなく、原発を壊してしまうほどの地震の発生はありうるのです。
 第3に、女川原発の事故を想定した住民の避難計画に、とてつもない困難が横たわっています。避難訓練も実施されていますが実効性に問題が出ています。当会はこれまでに3回、周辺自治体にある病院や介護施設の避難計画について調査しました。避難計画の作成は進んできましたが、とても実効性のある計画とは言えませんでした。原発は、事故を起こしたら、住民も患者など弱者も救うことはできなくなるのです。

 将来にわたって、県民の安全な生活を確保するために、女川原発は3機とも廃炉にすることを求めます。この問題に取り組むさまざまな団体や、不安のない明日を求める広範な県民と、共同して再稼働阻止のために努力したいと思います。共に前に進みましょう。

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