シリーズ「女川原発廃炉への道」No,4


シリーズ「女川原発廃炉への道」

核のゴミ

副理事長 杉目 博厚

 福島第一原発事故発生後には、核のゴミの問題が非常に多く取り上げられ、「トイレなきマンション」とも表現され脱原発の論拠の一つとなっていたが、最近この話はあまり聞こえて来ない。しかし使用済み核燃料や放射能汚染廃棄物の処分問題は未だなんら解決されていないのは言うまでもない。
 女川原発は2号機の再稼働が地元同意の可否に委ねられる局面になっている。一方1号機は廃炉が決定した。1号機の燃料プールには、使用済み核燃料453体が保管中であり、搬出先の六ヶ所村再処理工場は未完成であるため、2号機3号機の燃料プールへ移し保管しなければ廃炉作業は進まない。それに加えて2号機が再稼働すれば使用済み核燃料はどんどん増え続け、貯蔵自体が逼迫した状況となり、過酷事故のリスクも高まるのである。日本は未だ最終処分場が決まっていない。核のゴミは貯まる一方なのだ。
 六ヶ所村再処理工場が稼動しガラス固体化して保管という方針であるが、この工程でトリチウム、クリプトン85等の放射性物質は大気と海洋へ放出される。福島第一原発における汚染水の海洋放出問題とあわせて考えた場合、東北の太平洋沿岸の海洋汚染が強く懸念される。
 このように「核のゴミ」の問題を考えた場合、これ以上のゴミを増やしてはいけないことは自明の理である。そのためには原発は稼動させてはいけないのは当然であろう。現存する「核のゴミ」だけでも処理できないのだから。

 

本稿は宮城保険医新聞2020年4月25日(1716)号に掲載しました。

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