「女川町議会原発再稼働正式同意」に対する公害環境対策部長談話


「女川町議会原発再稼働正式同意」に対する公害環境対策部長談話

2020年9月8日
宮城県保険医協会
公害環境対策部長
杉目 博厚

 9月7日女川町議会は本会議において、女川原発2号機早期再稼働を求める陳情を賛成多数で採択し、再稼働同意を示した。
 当協会では3度にわたる医療機関や介護施設に対する避難計画の実態調査を行い、結果としてこの避難計画は実効性がなく、破綻している。加えて今後においても実効性のある避難計画は作製不可能であると判断し、様々な形で再稼働反対の運動を行ってきた。また再稼働の地元同意を行わない事を求める会員署名を行い、その署名と共に8月27日に宮城県知事及び立地自治体首長宛に要請書を提出し、記者会見を行った。

 実効性のない避難計画は重大事故発生時における住民の被曝を意味するものである。避難先への住民の移動完了時間においても、膨大な時間を要する事が明らかになり、避難中の被曝は容易に想定される。また、この計画には屋内待避が盛り込まれている。屋内待避はある一定の程度の被曝を住民に強いるものであり到底容認出来るものではない。被曝ありきの避難計画である事は明白である。放射線の人体に及ぼす影響は、様々な主張があるものの、ICRPが外部被曝のみを根拠としている評価は問題であり、当然ながら吸引などによる内部被曝もその影響評価に取り入れなければいけない。

 万が一過酷事故が起こった際、その土地に住むことが出来なくなるという事実は、福島第一原発事故で明らかになっている。避難指示解除により居住出来る事になった地域はその基準が年間20msvである。日本における年間の公衆被曝限度は未だ年間1msvである。過酷事故がおこった際、永年にわたり居住出来なくなる地域が生まれる。線量が年間20msvの土地に住まわざるを得ない状況に追い込まれる。生業は崩壊してしまう。これは紛いもない事実である。福島での悲劇は原発立地自治体だけではなかった事を教訓としなければいけない。

 今般の女川町議会における採決前の討議に於いて、賛成派議員は「温暖化対策で日本の役割を果たすため、CO2を排出しない原発の再稼働が必要」と主張したとの報道がある。未だこのような主張をしている事に驚きを隠せない。今の時代、原発以外にCO2を排出しない方法はないとでも言うのであろうか。太陽光や風力、その他多くの再生可能エネルギーがあるではないか。原発はCO2を出さないがトリチウムを海洋に排出する。温排水により海洋温度を上昇させる。核のゴミを生み出し、事故がおこれば多量の放射能を大気中にばらまく。
 温暖化対策=原発再稼働というのは一昔前の原発神話の復活でしかない。

 女川第一原発は廃炉作業が行われる。廃炉に対しても多くのビジネス機会が期待されている。それに加え、現在も廃炉においては自治体に対してある一定期間交付金が国から出る仕組みとなっている。国策によって作られた原発はいずれ廃炉にしなければならない。しかも廃炉自体が困難な作業となる。国は国策として原発を推進してきた責任において、廃炉原発においてもその工程が完了するまで、自治体に対し現在の電源3法交付金と同額の交付を行うべきである。自治体は廃炉が終了するまでの期間に原発に頼らない地域活性化を検討、実行し、危険と隣り合わせの自治体のあり方から脱却すべきである。

 今後、石巻市議会、宮城県議会でもこの議論がされる事となる。賢明な判断を切に希望する。

 未だ日本は原子力緊急事態宣言が発令中である事を忘れてはいけない。

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