シリーズ「女川原発廃炉への道」No,6


シリーズ「女川原発廃炉への道」

原発再稼働に反対の声を上げ、廃炉への道を拡げよう

公害環境対策部員 島 和雄

 宮城県は5月21日、女川原発の重大事故の際、UPZ住人全員の避難完了には約3日かかるとの試算を公表、避難計画の見直しを急ぐとした。県はこの問題に対し屋内退避の周知を図るとしている。しかし、屋内退避はあくまで緊急避難(Emergency)であり、安全(屋外)避難が確約されてこその屋内退避ではないのか。
 屋内退避は、UPZ内の病院・有床医療機関に対しても求められている。問題はその後の連携病院への避難を自力で行うよう要請されていることだ。
 この件について、当協会では石巻市内の病院・有床診療所を対象に女川原発事故を想定した避難計画について調査した。その結果、「自力避難は困難である」との答が多数を占めた。自力避難が困難である以上、地域自治体は責任を持って対応すべきである。これが不可能な場合は、当該首長は速やかに原発再稼働を中止し、廃炉に向け決断しなければならないと思う。もっとも、多くの町・市・県民が声を上げ、大きく世論を盛り上げなければ事態は変わらない。
 原発はいずれ必ず廃炉のときがくる。その先延ばしは、単に大事故発生の確率を拡大し、危険物質を増大させているに過ぎない。そして孫・子の世代にそれらをつけ回していくことに外ならない。
 今、3・11福島第二原発事故による双葉病院の悲劇を繰り返してはならないのである。常に要配慮者を抱えている我々医療者が、原発の再稼働反対と廃炉に向けて、まず声を上げ、拡散していかなければならないときではないだろうか

 

本稿は宮城保険医新聞2020年6月15日(1720)号に掲載しました。

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