シリーズ「女川原発廃炉への道」No,8


シリーズ「女川原発廃炉への道」

納得いかない住民説明会

理事 矢崎 とも子

 女川原発2号機再稼働へ向けての住民説明会が始まった。コロナ禍での強行開催。県内8カ所限定開催。避難住民を受け入れる100万都市仙台での実施はなし。住所と電話番号を明記した全員の事前申し込みが必要…。最初からハードルは高い。
 女川でも石巻でも事前申込者は予定人数を下回り、追加募集のうえ、当日参加も可能となっていたが、情報は十分に広く流されていたのか。事後公開として多くのカメラが回る中、本音を語れる住民がどれだけいたか…。住民の命を守るための誠意を持っての対応なのか、開催状況だけを見ても疑問が残る。
 私が参加した石巻会場の椅子の3分の1ほどは空席だった。13時から16時半までの長丁場、分厚い資料をそのままスライドで示して説明。数台の録画機器が回り、大きなカメラで写真を撮られながらも、参加者は理路整然と多くの質問を出していた。
 安全であるための実証実験を公開で求める。大崎での裁判結審直前の対策工事2年延長の発表の影響をどう考えるか。避難計画は35年前原発稼働時に立てるべきものにかかわらず、未だに実効性のない計画を立てていることをどう考えているのか。福島原発事故教訓を生かしているのであれば、検証自体を示すべき(炉自体が欠陥構造を有しているのではないか)。集中豪雨・ミサイル攻撃に対する対応はされているのか。再稼働の最終判断は誰が責任を持って行うのか。要介護者がコロナ禍で安全に避難する策はあるのか。計画的避難は誰がどう守らせるのか。シェルターなどなく被ばく回避不可能な状態をどう考えるのか。石巻は震災で想定外を十二分に実体験しており、避けられない事故が起こる可能性がある原発はいらない。市長や知事は住民の命を守る立場で対応して欲しい。
 説明者は紳士的な態度で対応しているものの、形式的な返答ばかりだった。質問者のみならず参加者も納得いくものではなかったが、住民側が大人の対応で説明会は終了。
 全力で廃炉を求めるしか道はないことを、実感した。
 

本稿は宮城保険医新聞2020年8月25日(1726)号に掲載しました。

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