シリーズ「女川原発廃炉への道」No,16


シリーズ「女川原発廃炉への道」

女川原発は廃炉しかない

理事 今田 隆一

 2021年3月20日18時09分、牡鹿半島の北東20㌔(女川原発沖といってよい)を震源としたM6・9の地震が起こった。その5週間前の2月13日23時08分には福島県沖を震源としたM7・3の地震が起こった。東日本大震災から10年が経過し、この2つの地震は大震災の余震と言われているが、女川原発の再稼働が話題になっている折、改めて原発の危険性を示す「天の警告」と理解したい。2月13日の地震の翌日、住んでいる団地では、ヘリコプターの飛ぶ音が降り注ぐ中、いつもなら高い梢で元気に鳴いているシジュウカラの声がまったく聞こえなかった。
 2013年5月中旬に、福島県浪江町の福島第1原発事故後の帰還困難区域に調査に入った日本野鳥の会は、以下のように報告している。「ツバメはほとんど見かけなかった。これは田の草地化が進んで、巣材の泥が取れないことと、天敵のカラスが人のいない間に増えたためと考えられている。餌になる昆虫類が放射性物質のために減少し、その結果、キビタキやオオルリの姿がまったく見えなくなった」また日本鳥学会誌にSternalskiら(2015)はシジュウカラの卵で測定された内部・外部合計被ばく線量率は、地上1㍍高の空間線量率の64~80倍に及んだことを報告している。
 当たり前のことだが原発事故は都市部のみならず里辺の環境に甚大な被害を及ぼす。2年前、我が家の庭の巣箱にシジュウカラが営巣し、7羽の雛が孵った。もし原発事故が起こったらもう2度とそのかわいらしい姿をみることができなくなるだろう。女川原発の再稼働には強く反対する。廃炉しかない。

 

本稿は宮城保険医新聞2021年4月25日(1748)号に掲載しました。

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