シリーズ「女川原発廃炉への道」No,22


シリーズ「女川原発廃炉への道」

廃炉は政治を替えること

理事 島 和雄

 本シリーズの前回(№21)で刈田啓史郎先生は「国の政策として原発を続ける理由」について次のように述べている。
 原子力発電は危険性、経済性、電力の充足性などからその必要性を全く失っている。にもかかわらず、残そうとする国の政策には自前の核兵器によって国の安全を守ろうとする非常に危険な思惑があるのではないかと論ずる。これをあきらめさせるためには「核兵器禁止条約を日本が調印、批准するよう運動していく必要がある」と述べている。反核の思想に結びつけてのご指摘はまさに慧眼と言える。
 おそらく紙面の都合で触れなかったのではないかと思われるが、「国の政策として原発を続ける理由」にはもう一つ考えられる点がある。それは「原子力村」と称される利権集団のことである。
 この村は「電力会社」を中心に「政界・官界・財界・報道(メディア)・学界・労組・業界」などが「総括原価方式」という「金のなる木(システム)」に群がって、利益を吸い合う巨大利権集団だ。この集団が原子力発電を通して甘い汁が吸える間は、原発は推進されるであろう。
 が、原発廃止は、甘い汁が吸い尽くされるまで待つべきなのか。吸い尽くされた結果は? 土中の養分がすっかり吸い尽くされて砂漠化した世界が、温暖化に代表される地球危機と重なって想像されてくる。世界をわずかな富裕層とその犠牲となった貧困層に2極化すると予測する研究者もいるが、そうなるまで原発の終焉を待つことはできない。
 かと言ってこの村を解体することもできない。しかし利権構造にくさびを入れ、機能を変えることはできる。それは、政界を変えることだ。今の政権を反核・脱原発の政権に替え、刈田先生の言う「安全で環境負荷の少ない自然エネルギー発電」に力を注ぐ政権に替えることだと思う。
 まもなくそのチャンスがやってくる。今度の総選挙ですぐには達成できなくとも、その第一歩が踏み出せるのではないかと考える。まずは、身近な人たちに必ず投票に行くように呼びかけよう。棄権や白票はやめるように呼びかけよう。

 

本稿は宮城保険医新聞2021年9月25日(1761)号に掲載しました。

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