みやぎ反核医師・歯科医師の会 代表談話「STOP WAR IN UKRAINE.」


STOP WAR IN UKRAINE.

みやぎ反核医師・歯科医師の会 代表談話

みやぎ反核医師・歯科医師の会共同代表 杉目 博厚

 ロシアは24日、ウクライナに対する軍事侵攻に踏み切り、ロシア軍とウクライナ軍の戦闘が続いている。この暴挙において多数の子供を含む命が奪われ、多くの血が流されている。国家間の問題を力でねじ伏せ解決を図ろうとするこの蛮行に対し、全世界から多くの非難の声が噴出している。我々はこの一方的軍事侵攻に対し、強く抗議すると共に、ロシア軍の即時撤退と平和的外交交渉による問題解決を図る事を断固たる思いを持って要求する。

 プーチン大統領はこの侵攻に先立ち、ベラルーシとの軍事演習において核弾頭搭載可能なミサイル発射演習を行い、更にはウクライナ及び西側諸国に対し、ロシアに手を出すような事があれば核兵器を使用し、過去に例のない悲惨な状況を生み出す事になるという趣旨の発言をしている。その後も核による恫喝を繰り返し、西側経済制裁に対する報復に戦術核の使用をちらつかせている。この事は核抑止の枠組みを大きく逸脱し、核による威嚇といういわゆる核保有国家による侵略行為の一つの武器として既に利用されている事に他ならない

 武力による侵攻は国連憲章第2条の3、4に対する明らかな違反行為である。

 また核兵器を保有する米英仏中ロの5カ国が1月3日、核保有国同士の戦争を回避することを「一番の責務だ」とする共同声明を発表した。核不拡散条約(NPT)の再検討会議が新型コロナウイルスの影響で延期されるなか、主要な核保有国がそろって核不拡散や軍縮の重要性を訴えていた。もちろんこの共同声明にはロシアも名を連ねている。

 声明は「核戦争に勝者はおらず、決して戦ってはならない」と強調。核兵器が存在するとしても、防衛や侵略・戦争の抑止を目的としたものであるべきだとした。ロシアが今おこなっている「核による威嚇・恫喝」は明らかにこの声明に対する反逆行為である。

 また、共同声明は「核兵器のさらなる拡散を防がなければならないと強く信じている」と言及。核軍拡競争の停止や軍縮に向けて交渉を進めることを求めたNPTに基づいて、引き続き責任を果たしていくとした。
そのうえで、安全保障を損なわずに核兵器のない世界という「究極の目標」を実現するために、すべての国と協力する意向があると強調したのである。
 にも関わらずロシアはベラルーシに憲法を改正させ、ベラルーシ国内にロシアの戦略核を配備するという準備を進めている。

 更に28日、マルカロワ駐米ウクライナ大使は、米議員向けにブリーフィングを行った後、「ロシアはきょう、ジュネーブ条約で禁止されている燃料気化爆弾やクラスター弾を使用した」と述べた。非人道的且つ無差別殺戮兵器を使用した事が事実であるならば、これは戦争犯罪に該当する可能性があり、もうすでにプーチン大統領は常軌を逸した暴君と言わざるを得ない
 このようにありとあらゆる場面に於いてロシアは国際社会を欺き、今回の愚行、蛮行をおこなっているのである。

 もう一つ見逃せないのは、今回の侵攻において、ウクライナのチェルノブイリ原発を占拠した事である。
 これもIAEAが即刻非難声明を出したように国連憲章、国際法、IAEA憲章に対する明らかな違反行為である。
 核施設敷地における武力の行使、占拠は原発の安全性を極めて脅かす許されない暴挙であり、チェルノブイリ原発の石棺の損傷や、核廃棄物貯蔵施設への被害をもたらした場合には大量の放射性物質が飛散される恐れがある。
 さらにIAEAは27日、ロシアの侵攻を受けているウクライナの核廃棄物施設2カ所が被害を受けたと報告した。
 IAEAが明らかにしたところでは、キエフの放射性廃棄物処理施設にミサイルが着弾したほか、ハリコフにある同様の施設の変圧器が被害に遭った。
詳細な状況は未だ判明されていないが、IAEAの査察官は地元当局による放射能測定結果を待って被害の程度を見極める方針だという。

 このような形での放射能被害は到底看過する事は出来ない。
 我々みやぎ反核医師の会は原発を含む核関連施設に対する攻撃や占拠を即時中止し、撤退する事を強く要求する。

 最後に、いみじくも今回原発はこのように有事やテロ攻撃などにおいて、その安全管理は非常に困難である事が明らかにされた。戦術核による攻撃ではなくとも、原子力関連施設に対する攻撃は放射性物質を放出させ、甚大な被害を与えるものである。日本の安全保障の観点からも原発はゼロにしなくてはいけないという事を最後に付け加えさせて頂く。

STOP WAR IN UKRAINE.

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