シリーズ「女川原発廃炉への道」No,28


シリーズ「女川原発廃炉への道」

廃炉作業始動は早急に!
講演会「今、福島から・分断と対立を乗り越えて」に参加して

理事 島 和雄

 原発問題住民運動全国連絡センター筆頭代表委員の伊東達也氏の表記講演を聴いた。その中から「廃炉」に関する一部を紹介し、感想を述べる。
 講演は、まず始めに「起こるべくして起きた過酷事故」と題し、歴史的流れから入った。1953年、国連においてアイゼンハワー大統領は原子力平和利用の提案を行った。翌年、中曽根康弘等が突如原子力予算案を国会に提出、翌日可決という暴挙に出た。それが日本の原発政策の始まりとなる。
 次に「十年たった福島の抱える問題・課題は」と題し、風評問題に対する県民意識、トリチウム汚染水の海洋放出問題、イノベーションコースト構想に基づく復興への疑問、そして廃炉問題などに触れた。
 三つ目は「沈殿した分断と対立を乗り越えて」と題し、「避難」「住宅対応の違い」「賠償の違い」「放射線量に対する認識の違い」、そして「健康問題、特に甲状腺がんなどをめぐって」などの分野で複雑・多様な被害を生み出し、さまざまな意見に分かれていることを明らかにした。しかし、自分の意見に固執して対立・分断を深めるのではなく、分断を乗り越えるべく合意形成に向けて根気強く学習会・勉強会を続けていくことが重要であると締めくくった。
 さて、廃炉について。
 伊東氏はそもそも30〜40年で廃炉が終了することはあり得ないと話す。
 格納容器の上蓋に付着した放射性物質は事故時地面に降った量の23.4倍にもなるとのことだ。
 廃炉過程で生じる低レベル放射性廃棄物の容量は福島第二原発5万2000トンの150倍、約780万トンにもなるという。この途方もない量の低レベル放射性廃棄物は、地下水の流れていない地上に保管する必要があり、第一原発の敷地内に保管される可能性が高いということだ。
 さらに格納容器の底にたまったデブリの問題がある。比較的状況把握のできている2号機のデブリは推定880トンもあり、取り出しも数グラムから始めるとされており、3基の取り出し完了が30年程度で収まるとは考えられないと氏は述べる。なお、チェリノブイリでは100年後の廃炉完了を目指して暫定保管中であるが、そこは今ロシア軍によって占拠されている。
 原発は事故の有無に関わらずテロの対象となり危険視されてきたが、それが今や現実のものとなった。戦争回避は重要だが相手があってのこと。いかなる場合であっても廃炉こそ危険回避の道となる。つまり、事故や事件が起こる前に原子炉の稼働を止め、時間のかかる廃炉作業を今すぐにでもスタートさせなければならないのだ。

 

本稿は宮城保険医新聞2022年3月25日(1777)号に掲載しました。

This entry was posted in 公害環境対策部, 女川原発再稼働関連. Bookmark the permalink.

Comments are closed.