今回選出される知事への期待
理事長 北村龍男
新たに選出される知事に対する期待は大きい。大震災復興2年半を経過したが、復興の遅れは大きく、被災者の生活の再生は遠い。震災復興に当たっては、復興予算の流用につながる創造的復興の発想はやめ、被災者の生活レベルを元に戻すことをまず考えてほしい。
また、復興を進めるに当たって、被災住民の声を十分に聞いてほしい。例えば、防潮堤は賛否両論がある。地形によって効果は異なる。それぞれの地域で住民の納得のいく方針を導き出してほしい。
国の政策に対しても、県民の生活を守る立場に立つことを期待する。国は消費税増税を決めようとしている。TPP参加にも前のめりである。社会保障については、70歳から74歳の高齢者の一部負担金を2割にする、特養入所者を要介護3以上にするなどの政策を強行しようとしている。汚染水問題が解決できないまま、原発再稼働を目指している。憲法改悪、秘密保護法なども推し進める構えでいる。これらは県民の生活に大きな痛手となる。国の政策に対しても県民の立場に立った対応を求めたい。
保険医協会は先の理事会で、「宮城県知事選挙にあたっての県政への重点要求」を決定した。この重点要求について、知事選立候補者にアンケートを行い、回答を会員にお知らせする。投票に当たっては参考にして頂きたい。
重点要求の中でも、第一に被災者医療費一部負担金免除、保険料の減免を宮城県として早急に復活する事を協会は要求している。大震災の健康への影響は長期にわたる。これまで以上に慢性疾患ばかりでなく、PTSDなどの放置も懸念される。阪神大震災後、アスベストによる労働災害が顕在化したのは十数年経ってからである。受診抑制は疾病の早期発見を遅らせ、重症化をもたらす。新知事には医療費の一部負担金免除、保険料減免の復活を期待したい。
宮城県知事選挙にあたっての県政への重点要求
1、生活再建に至るまで東日本大震災被災者の医療費一部負担金免除および保険料減免を宮城県として早急に復活すること。
2、東日本大震災により被災した民間医療機関について復旧状況を調査し、遡及して補助制度を拡充すること。また、今後の災害に備えた恒久的な民間医療機関補助制度を県独自に創設すること。
3、仮設住宅、民間借り上げ住宅の避難者について、継続して健康調査を実施し、必要な対策を講じること。
4、福島第一原発事故による県内の放射能汚染の実態調査、健康被害調査をおこない、必要な対策を講じること。
5、女川原発の再稼働を認めないこと。代替エネルギーへの転換を促進すること。
6、福島第一原発の隣県として、汚染水をはじめ事故処理の抜本的対策を政府および東京電力に求めること。
7、震災復興に名を借りた東北メディカルメガバンク事業等への関わりを見直し、被災者の健康確保と生活再建のための直接的な復興事業を加速させること。
8、少子化対策として、乳幼児の医療費負担を通院についても就学前まで無料とすること。
9、著しく受診を抑制する国保の資格証明書を発行しないよう市町村を指導すること。
10、県内すべての自治体で成人歯科健診を実施するなど歯科保健事業を充実すること。
11、第6次地域医療計画を見直し、救急医療、地域医療体制の拡充を図ること。
12、県内全域での医師、医療従事者が確保されるよう対策の充実を図ること。
以上