10・23東北ブロック厚労省要請 提出要望書


2014年10月23日に東北6県の保険医協会でつくる東北保険医団体連絡会(保団連東北ブロック)が、被災者の医療費免除の継続と拡充を求め、厚生労働省と懇談をしました。懇談では当会が行った仮設住宅居住者アンケートの結果を報告し(調査結果はコチラ)、以下の要望書を提出しました。

内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
厚生労働大臣 塩崎 恭久 殿

東日本大震災被災者の医療費窓口負担金免除
継続・拡充等を求める要望書

 東日本大震災から3年7ヶ月が経過しているにもかかわらず、被災者の雇用や生活再建は遅々として進みません。多くの被災者が継続を求めていた医療費一部負担金の免除は、宮城県で4月に再開されたものの、対象者が限定されたため新たな困難が発生しています。岩手県や福島県では、免除打ち切りの期限が迫る中、被災者の不安が極度に高まっています。
 私たちは、岩手県および宮城県において仮設住宅居住者にアンケートを実施したところ、岩手で2000、宮城で1012を超える回答が得られました。宮城の調査結果では、一部に限定しての免除に納得できないとの回答が7割近くに上りました。また両県の調査に、このままでは医療さえ受けられなくなる、困っている被災者すべてを助けてほしいとの切実な声が多数寄せられました。
 劣悪な生活環境による心身の悪化は日々深刻化しており、一部負担金免除継続、対象者拡大は被災者の心からの願いです。被災者の生活再建の目途が立つまで、以下の事項を強く要望します。また、福島県はもとより放射能汚染状況重点調査地域では放射線による健康への影響に対する住民の不安が高まっています。地域居住者に対する健診の実施、医療費負担の免除を要望します。

【要望項目】

一、保険の種類にかかわらず、生活再建に至らない被災者の医療費窓口負担金の免除措置を国の全額負担によって復活し、継続、拡充すること。
一、被災3県に対する国保の財政支援を国として平成28年度以降も継続すること。
一、放射能汚染状況重点調査地域(年間1mSV以上)の居住者に対する健診の実施、および医療費負担を無料とすること。

2014年10月23日
東 北 保 険 医 団 体 連 絡 会

青森県保険医協会 会長   大竹 進  
岩手県保険医協会 会長   南部 淑文 
秋田県保険医協会 会長   三浦 利治 
宮城県保険医協会 理事長  北村 龍男 
山形県保険医協会 理事長  國井 兵太郎
福島県保険医協会 理事長  酒井 学  

 

そのほか、患者申出療養や子ども医療費無料化制度について以下の要望書も提出しました。

内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
厚生労働大臣 塩崎 恭久 殿

「患者申出療養」(仮称)の導入撤回を求める要望書

 安倍首相は「保険外併用療養費制度」の新たな枠組みとして、患者の申出により混合診療を可能とする「患者申出療養」(仮称)新設の方針を表明しました。
 実施できる医療機関は臨床研究中核病院だけでなく、基準を満たせば全国の病院や診療所で申請を行うことができ、審査期間を原則6週間以内に大幅に短縮するとしています。
 このような制度が導入されるならば、第1に、安全性、有効性の担保されない行為が保険診療と併用されることになります。審査期間の短縮によって、安全性、有効性の証明が形骸化し、想定外の薬害や医療事故が起きる危険性が高まります。
 第2に、新たな治療技術や医薬品が保険給付の対象外に留め置かれることが懸念され、患者の経済力によって受けることのできる医療に格差が生じます。
 第3に、本来は全額自己負担の自由診療に公的医療費が使われることになり、高額な自由診療を利用できる一部の人のために、多くの患者・国民が支払っている保険料や税金が充当されることになります。
 第4に、患者の自己責任のもとで、対象となる疾病の種類や治療法に制限はなく、どこの医療機関でも実施できるということは、混合診療の全面解禁そのものであり、国民皆保険制度を崩壊させるものです。
 さらに費用対効果の低い医薬品や医療技術について、保険適用しないことと併せて、保険適用から外すことも検討すると報道されています。費用対効果の基準は恣意的運用が可能であり、断じて認めることはできません。
 当連絡会は「患者申出療養」の導入方針を撤回し、安全性、有効性の確認されたものは速やかに保険適用することを求めます。

2014年10月23日
東 北 保 険 医 団 体 連 絡 会

青森県保険医協会 会長   大竹 進  
岩手県保険医協会 会長   南部 淑文 
秋田県保険医協会 会長   三浦 利治 
宮城県保険医協会 理事長  北村 龍男 
山形県保険医協会 理事長  國井 兵太郎
福島県保険医協会 理事長  酒井 学  

 

2014年9月12日

内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
厚生労働大臣 塩崎 恭久 殿

国による子ども医療費無料制度の創設を求める要望書

 政府は人口減少を克服し地方を再生するため、50年後に1億人を維持するとの長期ビジョンと2020年までの対策を盛り込んだ総合戦略をまとめるとしている。
 一方、厚生労働省が発表した2013年度合計特殊出生率は1.43であり、人口を維持するのに必要な2.08への回復は依然として困難で、まさに危機的な水準を推移している。
 少子化の進行は、人口構造の高齢化や将来の生産年齢人口の減少にもつながり、子どもの健全な成長への影響のみならず、社会経済や社会保障のあり方にも重大な影響を及ぼすことが懸念される。
 こうしたことから、子育て家庭の経済的負担を軽減する措置が少子化対策の重要施策となっており、子ども医療費助成制度は、公的医療保険制度を補完する制度として全国の多くの自治体で実施され、中学卒業まで助成の自治体が6割近くに上っている。東北においても子どもの健全な育成と児童福祉の向上、子育て環境の改善に大きな役割を果たしている。しかし、自治体間で制度が異なっているため、住む地域によってサービス内容に格差が生じているのが現状である。
 このような地方公共団体の施策を一層充実させ、子どもを安心して産み、育てることのできる社会の実現をめざすには、地方制度の安定化が必要であり、そのためには国による支援が不可欠である。
 よって、政府におかれては、国による子ども医療費無料化制度を早期に創設されるよう強く要望する

2014年10月23日
東 北 保 険 医 団 体 連 絡 会

青森県保険医協会 会長   大竹 進  
岩手県保険医協会 会長   南部 淑文 
秋田県保険医協会 会長   三浦 利治 
宮城県保険医協会 理事長  北村 龍男 
山形県保険医協会 理事長  國井 兵太郎
福島県保険医協会 理事長  酒井 学  

 

 

2014年9月12日

内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
厚生労働大臣 塩崎 恭久 殿

医学部新設に関する要望書

 文科省、厚労省、復興庁の3省庁は、震災からの復興、今後の超高齢化と東北地方における医師不足、原子力事故からの再生といった趣旨のもと、東北地方における医学部設置の基本方針を発表、文科省の新医学部構想審査会は8月29日、東北医科薬科大学を設置者と選定しました。
 東北地方−特に津波被災地−では大震災前から、医師不足、医師偏在の影響が指摘されてきました。一方、医師増員だけで被災地の医療は充実しません。地域医療の充実のためには、社会保障−医療・介護・福祉−の拡充が必要です。
 構想審査会は認可の条件として、運営協議会、医師偏在解消、総合診療医養成、教員・医師・看護師確保対策、修学資金、入学定員・定員調整など7項目を挙げています。これらの項目は新設医学部の準備の課題として当然であるものの、不十分さは否めません。今般の医学部設置は、単に一私立大学に新設されるというだけでは何の意味もないばかりか、いっそう、東北の医療が疲弊しかねません。地域医療に貢献する医師養成のため具体的な措置を講ずる必要があります。そのため、当連絡会は以下のとおり、要望します。

【要望項目】

一、国は、設置を許可するだけではなく、必要な予算措置をおこなうこと。
一、東北地方、特に被災地での医療充実に資するよう、卒業医師の定着を図ること。そのため、入学者の地域枠設定、東北に残る医師の修学資金は学生、受け入れ自治体に負担をかけない措置を講ずるなど、医学部設置の趣旨が貫かれるよう国としての責務を果たすこと。
一、教職員等人材については、東北地方以外から確保するよう必要な措置を講ずること。
一、医学部運営協議会設置にあたっては、住民、特に被災地の声を直接聞く場を設けるなど、開かれた協議会とし、そのための措置を講ずること。

2014年10月23日
東 北 保 険 医 団 体 連 絡 会

青森県保険医協会 会長   大竹 進  
岩手県保険医協会 会長   南部 淑文 
秋田県保険医協会 会長   三浦 利治 
宮城県保険医協会 理事長  北村 龍男 
山形県保険医協会 理事長  國井 兵太郎
福島県保険医協会 理事長  酒井 学  

 

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