2014年度 保団連公害視察会 参加報告


2014年度 保団連公害視察会 参加報告

理事・公害環境対策部員 杉目博厚

 

草薙順一弁護士による講演

10月18、19日の二日間、保団連公害視察会に参加した。今年度は愛媛県の伊方原発視察である。川内原発の次に安全審査をクリアするのではないかと言われている原発である。

 

宿泊は道後温泉。歴史ある街並みに心を奪われ観光モードに突入しそうな気持ちをグッとこらえて初日の講演会に参加。講師は「伊方原発をとめる会」事務局長で弁護士の草薙順一氏。今までの反対運動の経緯を話しながら今後の運動について熱く語られた。

伊方原発は中央構造線(巨大断層帯)南側の破砕帯にあり、地滑り地帯の中央に立地している危険が指摘されている。また瀬戸内海という国内で唯一の内海にある原発で事故が起きると、閉鎖性海域であるこの海は死の海と化してしまう。原発の西側は半島の突端部となっており、避難は困難を極める。また南海トラフの巨大地震に関しては、有識者が想定震源域を伊方原発のほぼ直下まで拡げている。

伊方原発

「原発ゼロを実現し、再生可能エネルギー中心の社会を」アピールを採択し懇親会に。様々な意見交換がなされたが、その中で「福島の人達がもっと声を上げなければいけない」という意見が講師の先生などからあった。僭越ではあるが私は少し異を唱えさせて頂いた。「福島は声を上げたくても上げられない現状がある。危険があるとしても、不安があるとしても住み続けなければいけない環境がある。声を上げることで自分自身の今を否定してしまうことになる。そのことを受け止めたうえでの運動が必要では……」。

翌日は早朝より伊方原発視察。大型バスに乗り込み出発した。晴天に恵まれ素晴らしい瀬戸内の凪の海が車窓に拡がる。そこから山道に。曲がりくねった細い山道だ。大型車がすれ違うのも困難を極める。原発が目の前に姿を現す。穏やかな青々とした海に面し大きな原子炉が3機そびえ立っている。「津波が来たら終わりだな」「裏山の地滑りでもだめだ」参加者からそんな声が聞こえてくる。危険性を再確認し交流会に。

 交流会では4人の方々が特別報告を行った。その中で「伊方原発運転差止訴訟原告」に地元から参加している長生博行氏の報告に心を打たれた。様々な圧力を受けながらも「次世代のために原発は止める」という信念と行動には頭が下がる。長生氏は訴える「みんな本心ではとめてほしいと思っている。居づらくなるから表に出せないだけ。だから原発に依存しない道を模索し開拓し、声を上げやすくしないと……」原発NOの運動の本質がここにある。今回の視察会はバス車中でも様々な話を聞くことができ、また意見交換も活発に行えた。非常に意義のある視察会であった。

交流会で報告する長生博行氏

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