要請書「『医療保険制度改革関連法案』は拙速な採決を 強行せず、さらなる審議と廃案を求めます」


医療保険制度改革関連法案が5月26日の参議院厚生労働委員会において採決される可能性が高いとの情勢を受け、以下の要請書を内閣総理大臣、厚生労働大臣、参議院厚生労働委員、県選出国会議員へ提出しました。

内閣総理大臣 安倍晋三殿
厚生労働大臣 塩崎恭久殿
参議院厚生労働委員会各位
国会議員各位

2015年5月26日
宮城県保険医協会
理事長 北村龍男

「医療保険制度改革関連法案」は拙速な採決を強行せず、さらなる審議と廃案を求めます

 現在、参議院厚生労働委員会で医療保険制度改革関連法案の審議が行われています。

 衆議院では、わずか19時間(参考人質疑を除く)の審議で採決、与党などの賛成多数で可決されました。患者自己負担増が1200億円にものぼる「入院時食事療養費」の引き上げは、全体でわずか10数分しか議論されませんでした。

 参議院厚生労働委員会では、患者負担増の問題を質問する議員は徐々に増え始めました。それでも、5月22日(金)時点での審議時間は、まだ12時間余り(参考人質疑を除く)で審議の不十分さは否めません。

 与党からも、衆議院で賛成した政党からも、以下の通り法案に対する懸念が次々に出されています。

①「今でも『払えないほど高すぎる保険料』や違法な差し押さえで苦しんでいる国保加入者をさらに増やすのではないか」
②「経済的困難を抱えている患者さんが、入院時の食事療養費の自己負担があがることで入院をあきらめることになり、さらに重篤化することにならないか」
③「患者申出療養制度について、『6週間』でどのように安全性・有効性を確認するのか、予想しなかった医療事故や副作用が起こった場合、患者およびかかりつけ医の責任とされるのではないか。本当に将来的に保険収載される保証はあるのか」

 他にも様々な論点が残っています。それにも関わらず、厚生労働大臣をはじめとする政府側答弁は「法案成立後に関係審議会等で詳細は決める」との答弁に終始しています。

 難病・患者団体からも「患者負担の増大等への影響」を危惧し、廃案の声があげられています。

こうした患者さんや医療従事者、国民の声を無視し、十分な審議も尽くさずに厚生労働委員会での採決を近日中にも行うことは、到底許されません。

議会制民主主義の立場からも立法府としての役割、責任発揮とはいえるものではありません。

 私たち保険医協会は、患者さんに寄り添い、いのちと健康をまもる医師・歯科医師の団体として、「医療保険制度改革関連法案」はさらなる審議を尽くし廃案とすることを強く求めます。

 

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