2016年3月


(2016年3月)

大震災5年 復興における医療の役割を果たすために

理事長 井上 博之

井上博之顔写真20151214
 間もなく5度目の「3.11」を迎える。改めて大震災だったと思う。復興が予定通りに進んだという話はまだ一部にしかない。なかなか計画通りにいかないのが、被災地の現実であろう。それでも、みんなが前を向いて進んでいるならいい。今回、被災者の健康や医療をめぐって、憂慮すべき問題が見えた。

 当協会は、昨年11月24日から今年1月15日まで、被災者の医療費窓口免除に関するアンケートを実施した。県内各地の被災者から2500通を超す回答ハガキが寄せられた。
 一部内容を紹介する。現在免除を受けている被災者に、免除が終了したらどうするかを問うたところ、
「受診をやめる」7.8%、「受診回数を減らす」29.7%と受診抑制が予告された。一方「これまで通り受診する」は47.2%だった。
仮設住宅居住者と災害公営住宅居住者の回答結果には、ほとんど差がなかった。

 さらに深刻だったのは、1648件もの意見記入があったその内容である。
 「年金生活で命に関わる病気を持っていて、免除を打ち切られたら死が待っているだけです」「被災後、持病が悪化し、仕事も限定され、一部負担金の免除が終わると、インスリン注射も潰瘍性大腸炎の治療も受けられません。生活ができなくなり死ぬかもしれない」など。免除に対する深い感謝と免除がなければ生きていけない窮状が書き込まれていた。

 被災者の生活再建の現状は、年を経るにしたがって格差が拡がっているのではないかと感じた。明らかに医療費窓口負担免除という支援が必要な被災者がいる。なのに、宮城県でのこの問題に対する県や市町の対応は弱い。そして、このままだと4月からは自治体間の格差も生まれようとしている。残念なことである。

 宮城県保険医協会は、県内の被災者の代表者や各支援団体と協力して、免除の継続・拡充のための取り組みをしている真っ最中である。私たちは、医院の窓口を訪れることもできないままでいる人にも手を差し伸べられる医療人でありたいと思う。

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