歯科講演要旨
講演要旨「歯科における医療安全講習会~歯科施設基準(歯初診・外来環)とスタッフ院内感染講習会」(会員専用)
「歯科における医療安全講習会~歯科施設基準(歯初診・外来環)とスタッフ院内感染講習会」講演要旨
新型コロナウイルスを含む歯科における感染対策・偶発症等の医療事故予防及び緊急時の対応
入野田歯科医院 入野田 昌史
毎日のように新型コロナウイルス感染の話題が報道され、最近では第2波、第3波と思われる感染者数の急増が危惧されています。また、歯科診療におきましても以前からHBV、HCV、HIV等の感染症の対応としてスタンダードプリコーションを行ってきました。しかし、今回の未知の新型コロナウイルスが猛威をふるってからは歯科におけるスタンダードプリコーションの考え方も一変しました。「飛沫感染」や「接触感染」への対応が特に重要になり、WHOの報告では「空気感染」の可能性まで出てきているとなると、対応はさらに難しくなりました。ワクチンや確実な治療薬のない現状では、今までとは全く違った対応も求められるようになりました。一方で全ての業種で感染対策がとられ、歯科医院においてもより厳重な感染対策が求められるようになり、患者さんの歯科医療に対する意識がかなり高まっていることは事実です。
そして、数年前より医療事故調査制度も始まり、歯科でも超高齢社会を迎え医療事故についても対応していかなければならない時代となってきました。
最近の歯科医療において院内感染対策を含め緊急時や偶発症等の医療事故への対応が以前より増して求められ、安心・安全が最重要視されてきています。
日本医療安全学会のニュースレターによると、医療安全の考え方も医療事故での守る安全から攻める安全に変わってきています。
そして、数年前より医療事故調査制度も始まり、歯科でも超高齢社会を迎え医療事故についても対応していかなければならない時代となってきました。
最近の歯科医療において院内感染対策を含め緊急時や偶発症等の医療事故への対応が以前より増して求められ、安心・安全が最重要視されてきています。
日本医療安全学会のニュースレターによると、医療安全の考え方も医療事故での守る安全から攻める安全に変わってきています。
歯科における院内感染対策
2014年5月18日読売新聞の朝刊に「歯を削る機器7割使い回し」という記事が掲載された。また、2017年7月29日の朝日新聞の朝刊によると、今まで治療していた患者さんがHIVに感染していることがわかった時に、歯科治療の途中で転院を促してトラブルとなった事例も報道されていました。
現在では一般の方にもU=U(Undetectable=Untransmittable)という考えが浸透し「抗HIV療法を継続することで、血中のウイルス量が200 copies/mL未満の状態を6カ月以上維持している状態のHIV陽性者は他の人に性行為を通じてHIV感染させることはない」と言われています。つまり、このような治療とコントロールが確実に行われている場合には適切なスタンダードプリコーションを行うことで特に問題がないと考えられています。
最近急増している梅毒患者の中にもHIV感染者が増えているようであり、感染部位に症状が出ることが多く、オーラルセックスにより口腔内の症状にも注意が必要になってきています。
感染対策は、可能な限り完璧を目指した院内感染対策が望まれますが、基本は「スタンダード プリコーション(標準予防策)」になります。これは全ての患者に対して行い、唾液を含む血液や体液、分泌物、排泄物、傷のある皮膚や粘膜に対して行う感染対策のことです。また、必ずグローブ、マスク(可能であればN95)、防護メガネやフェイスシールド、ガウンなどを使用することです。
2014年5月18日読売新聞の朝刊に「歯を削る機器7割使い回し」という記事が掲載された。また、2017年7月29日の朝日新聞の朝刊によると、今まで治療していた患者さんがHIVに感染していることがわかった時に、歯科治療の途中で転院を促してトラブルとなった事例も報道されていました。
現在では一般の方にもU=U(Undetectable=Untransmittable)という考えが浸透し「抗HIV療法を継続することで、血中のウイルス量が200 copies/mL未満の状態を6カ月以上維持している状態のHIV陽性者は他の人に性行為を通じてHIV感染させることはない」と言われています。つまり、このような治療とコントロールが確実に行われている場合には適切なスタンダードプリコーションを行うことで特に問題がないと考えられています。
最近急増している梅毒患者の中にもHIV感染者が増えているようであり、感染部位に症状が出ることが多く、オーラルセックスにより口腔内の症状にも注意が必要になってきています。
感染対策は、可能な限り完璧を目指した院内感染対策が望まれますが、基本は「スタンダード プリコーション(標準予防策)」になります。これは全ての患者に対して行い、唾液を含む血液や体液、分泌物、排泄物、傷のある皮膚や粘膜に対して行う感染対策のことです。また、必ずグローブ、マスク(可能であればN95)、防護メガネやフェイスシールド、ガウンなどを使用することです。
※ 歯科診療時のポイント
[スポルディングの分類(Spaulding Classification)]
- 滅菌(クリティカル)、消毒(セミクリティカル)、洗浄(ノンクリティカル)。
[印象材の消毒]
- 印象体の水洗:アルジネート印象材で120秒、シリコーン印象材で30秒。
- 消毒方法:次亜塩素酸ナトリウム溶液に15~30分、グルタラール30~60分、過酢酸(アセサイド)、フタラール5分。
[暴露後の対応]
一般に針刺し事故が起きた場合の対応として、できるだけ速やかに流水で傷口を洗浄するとともに血液を絞り出し、その後は傷口に消毒液を用いて消毒することが望ましいと言われている。もし、針刺し事故によって暴露事故が発生した場合には、応急処置を施した後になるべく急ぎ感染症内科などの専門の医師に相談し、対応することが望ましい。
一般に針刺し事故が起きた場合の対応として、できるだけ速やかに流水で傷口を洗浄するとともに血液を絞り出し、その後は傷口に消毒液を用いて消毒することが望ましいと言われている。もし、針刺し事故によって暴露事故が発生した場合には、応急処置を施した後になるべく急ぎ感染症内科などの専門の医師に相談し、対応することが望ましい。
緊急時および偶発症等の医療事故への対応
医療事故には、死亡、生命の危険、病状の悪化等の身体的被害および苦痛、不安等の精神的被害が生じた場合。患者が廊下で転倒し負傷した事例のように医療行為とは直接関係しない場合。患者についてだけでなく注射針の誤刺のように、医療従事者に被害が生じた場合などがあります。また、「人は誰でも間違える」ことを前提に、間違って事故を起こしても障害にならないようにするにはどうすればよいか、提言を行います。重要なことは、個人に対して起こってしまった誤りをとやかく言うのではなく、安全を確保できる方向にシステムを設計し直し、将来のエラーを減らすように専心することです。
ハインリッヒの法則によると重い障害事故が1件あれば、それに対して軽い障害事故が29件、障害のないニアミス的な事故が300件、その背景には数え切れないほどの不安全な行動、不安定状態があると言われています。
- インシデントとは事故には至らなかったが、適切に処理が行われないと事故になる可能性がある事象のことを言います。一般的に「ヒヤリハット」の同義語として用いられる。日常の治療や行為の中で[ヒヤリ」とすることや、「ハッ」とした経験のことを指します。
- アクシデントとは「事故」を意味する。危険な状態に気付かなかったり、適切な処置が行われなかったりすると、障害が発生し「事故」に至ります。
- リスクマネジメントとは医療機関において、事故を未然に防ぐために各部門で体制を整備するとともに組織的な体制を構築し、リスクの把握、分析対応、評価を継続的に行うことを言います。リスクマネジメントは、①リスクの把握、②リスクの分析、③リスクの対応、④対応の評価といった、一連の問題の解決プロセスで行います。
医療を安全に行うためには患者の全身状態の把握を行います。現在の服用薬、これまでの既往歴、今日の体調を確認します。どんなに若くて、健康そうな患者さんでも全身的偶発症が起こる可能性があります。そして飲んでいる薬は変更や追加になっている場合があります。
全身状態が判断できない場合やわからない時には、かかりつけ医がいれば積極的に問い合わせを行います。全身状態が悪いと判断される場合は無理せず、高次医療機関(大学病院、病院歯科)に紹介したほうがよいと思われます。なるべく全身状態を管理するためモニタリングを行います。モニターとは患者さんの生命現象を監視することであり、脈をとり、患者さんの呼吸や顔色をチェックすることもモニターになります。生体モニターの機器は、患者さんの生命現象であるバイタルサインを客観的に知らせてくれます。血圧、心拍数、心電図、呼吸回数、血中酸素飽和度などを、数値で全身状態を監視することができます。特に歯科治療時にモニタリングしておきたい疾患は、高血圧、脳出血、心不全、急性冠症群、狭心症、心筋梗塞、糖尿病、気管支ぜんそく、アレルギーなどが挙げられます。
なお、全身状態の急変に対しても対応できるように常日頃から救急薬の使用法や、胸骨圧迫などの蘇生法、AEDについても研修とトレーニングをしておく必要があります。
(謝辞:仙台徳洲会病院歯科口腔外科の郷家久道先生の資料を一部参考にさせていただきました)
