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女川原発再稼働関連

シリーズ「女川原発廃炉への道」No,70

終わらない「核の居候」と「終のすみか探し」
公害環境対策部長 杉目 博厚

 使用済み核燃料の問題点は、一言で言えば「現代の錬金術師が残した、超危険で超長期の『負の遺産』の置き場がない」ことです。まるで、大成功したパーティーの後に、「誰も触りたくない、10万年腐らないゴミ」が山積みになっているような状況です。

1.貯蔵プールの「満室御礼」危機
 現在、使用済み核燃料のほとんどは、各原子力発電所の敷地内にある貯蔵プール(水槽)で冷却されながら保管されています。このプールは、原子炉から取り出した直後の熱く、放射線量の高い燃料を冷やすための、言わば「燃料専用の超豪華な冷却ホテル」です。
 ところが、肝心の「チェックアウト(最終処分)」先が決まらないため、このホテルは満室寸前。一部の原発では貯蔵率が90 %を超え、「もう新しいお客さん(使用済み燃料)を入れるスペースがありません!」という悲鳴が聞こえています。仕方なく、乾式貯蔵(ドライキャスク)という「敷地内の別棟アパート」を急きょ建てていますが、これもあくまで一時しのぎ。「核のゴミ」が原発敷地内に半永久的に居座るという、地元住民にとっては「約束破りの長期居候」状態が続いています。

2.10万年という名の「未来への宿題」
 使用済み核燃料の放射能レベルが安全なレベルまで下がるには、数万年から10万年という、気が遠くなるような時間が必要です。
 10万年というと、人類がまだネアンデルタール人と共存していた時代です。現代に生きる私たちは、この「10万年後の未来人への宿題」をどうやって引き継ぐかという途方もない問題を突きつけられています。最終処分場は、この超長期の「ゴミ」を地下深くに埋めることで解決を図ろうとしていますが、「10万年間、地震や火山の影響を受けず、水も入ってこない場所」を日本国内で見つけるのは、まさに机上の空論。さらに、その場所の住民に「あなたの街が、10万年後の日本の負の遺産を背負います」と納得してもらうのは、かなりの難航交渉です。しかしまた、そこにおいしい人参が目の前にぶら下がり、誘惑の魔の手が迫ってくるのでしょう。

3.核燃料サイクルという名の「壮大な夢物語」
 日本は、使用済み核燃料を再処理してプルトニウムなどを取り出し、再び燃料として利用する「核燃料サイクル」を国策として推進してきました。これは、「ゴミを貴重な資源に変える」という、まるで未来の錬金術のような壮大な計画です。
 しかし、その中核施設である六ヶ所再処理工場(青森県)は、完成延期を繰り返し、その度に費用は膨らみ続けています。今や「世界一建設期間が長い」「世界一費用が
高い」工場として、ある種の不名誉なギネス記録を更新中です。再処理工場が稼働しない限り、「核のゴミ」は「資源」に変わることができず、ただの「危険な在庫」として増え続けます。核燃料サイクルは、美しい理念とは裏腹に、その実現性と経済性が問われ続けている、「終わらない夢」のような存在になっています。
 使用済み核燃料の問題は、技術的な安全性だけでなく、未来への責任、地域社会の合意形成、そして国家プロジェクトの在り方という、複数の難題が複雑に絡み合った、理性と利権がしのぎを削るバトルフィールドなのです。このような状況で、新たな使用済み核燃料を増やしてはいけないということは、誰もが理解出来ることではないでしょうか。

本稿は宮城保険医新聞2025年11月25日(1875)号に掲載しました。
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