シリーズ「女川原発廃炉への道」


シリーズ「女川原発廃炉への道」

放射性廃棄物の現状

理事 矢崎 とも子

 9年の時が過ぎても東京電力福島第一原発からの放射性物質汚染が続いている今、女川原発2号機の再稼働が現実味を帯びてきた。女川で事故が起きても医療機関に入院中の人の安全は全く保障されていない。30㎞圏内の住民は自力での避難を求められている。一本道の国道45号線は避難者の車で仙台市内まで数珠つなぎになり、車内で被ばくする。車のない住民は避難すらできない。
 宮城県の8000bq/kg以下の放射性物質汚染廃棄物は、今なお農家等の敷地内で管理されている。梱包しハウス内に保管・シートをかけただけで道路沿いに野積み・梱包もされずに畜舎のわら置き場に積み上げ、など、その管理は個人に報酬も保証もないまま任せられている。大崎地区では、北部家畜保健衛生所が年3回程度保管状況を確認しているとのことだが、まさに確認しているだけのようだ。
 昨年10月の台風19号の影響で県内に仮置きされていた汚染稲わら105ロールが流失し、一つは環境にばらまかれてしまった。104ロールが回収再梱包された。住民の自主的調査で、周辺の空間線量は最大0.88μSv/hと確認された。柵や立ち入り禁止看板を求め、不十分ではあるが施行された。この管理担当は県農政部畜産課で、その目的は汚染稲わらが飼料として使われないようにすることである。住民の被ばく回避は念頭にないことは大きな問題である。
 放射性物質汚染廃棄物の焼却やすき込みは、放射性物質の濃縮や拡散を起こし、再被ばくの原因になる。県内各地で試験焼却によると考えられる空間線量の上昇がみられている。科学的に検証された事実をきちんと認識したうえで、住民の健康を守る立場での対応が求められる。大崎市では試験焼却をめぐり住民たちが差し止め仮処分を求めたが、聞き入れられず、3月3日大崎市議会で本焼却の予算が可決された。
 行政が住民の健康影響を無視し続けていることと、放射性物質をまき散らし被ばくを強要している東京電力が全く責任を取っていないことに強い怒りを覚える。女川原発の再稼働は未来の子どもたちに負の遺産を残すことに他ならない。

 

本稿は宮城保険医新聞2020年3月25日(1713)号に掲載しました。

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