(2024年3月)
13度目の3.11を迎えて
理事長 井上 博之
能登半島地震の発生のニュースで明けた2024年。東日本大震災の記憶が蘇りました。被災地の報道に接するたびに、13年前の発災直後の避難所の状況などが思い出され、居たたまれない気持ちになりました。
被害の全容が明らかになる中で、地震によって引き起こされる問題の地域差を感じました。そのような中で、13年前に私たちが経験したことが、教訓として活かされているか注目してみました。
改めて被災直後の初期対応を見てみました。道路が寸断され被災現地に近づけない実態などを見ると、もどかしさも感じます。それでも保健・医療関係者の被災者支援の活動は、チームを組んでしっかり行われているようでした。現地に支援に出向かれた当会会員の経験を聴く機会がありました。これまでの教訓が活かされているように感じました。
見落としてはいけない問題がありました。北陸電力志賀原発で事故が発生していたことが小さく報道されていました。使用済み核燃料プールから水があふれたり、一部の外部電源が使えなくなるなどの問題がありました。原発の安全性に関する深刻な事態が進んでいたのに、隠蔽されてしまったのではないかとの印象を持ちました。
宮城県では、東北電力がたびたび延期している、女川原発2号機の再稼働の問題も抱えています。当会は、これまでも再稼働に反対する取り組みをしてきましたが、今後いっそう取り組みを強化する必要を感じています。
13年経った宮城県でも、復旧・復興の課題は無くなっていません。被災者の生活の再建はまだまだこれからです。災害公営住宅の家賃の値上げなど、被災者目線で解決を図らなければならないこともあります。災害からの復興をめぐって、個々の被災者に寄り添って生活再建を支援する、災害ケースマネジメントの経験も積み上げられてきました。今回、能登でそれが活かされている報道に接し嬉しくなりました。
災害の被災者が一日も早く元の生活を取り戻せるように、力を合わせて問題解決に臨めるようにしたいものです。この13年の間にも、国内・国外にさまざまな災害を経験しました。東日本大震災の被災者である私たちは、私たちの場で、震災からの復旧・復興を成し遂げていくことが、全国の、全世界の被災者と連帯する道であろうと確信します。
13度目の3.11にあたり決意を新たにするものです。
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