シリーズ「女川原発廃炉への道」No,39


シリーズ「女川原発廃炉への道」

原発廃炉への道は「反」新自由主義・市場原理主義から

公害環境対策部長 島 和雄

 原発廃炉の必要性は本シリーズを通して、さまざまな観点、切り口で論じられてきた。どれも一目を置くべき内容だ。しかしながら、さらなる原発拡大が温暖化問題を踏み台に政府主導で進められようとしている。
 現政権は、最長60年としていた原発の期限を、休止中の年数はカウントせず延長、そして廃炉の施設は次世代型の原子炉に建て替えるという方針を打ち出している。チェックをより厳しいものにしていくので安全性には問題はなく、これでエネルギー対策も充分だという。
 しかし、本シリーズを読み返してもらえば分かるが、原発の危険性や放射性廃棄物の処理問題が解決しているわけではない。プレート由来の巨大地震が予想されているなか、福島の経験を無視した上での政府案、そして放射性廃棄物処理の見通しすらない中での政府案は無謀としか言いようがない。
 これをどこで食い止めるのか。独善的という誹りは免れないかも知れないが、私は「現政権・自民党」を打倒することだけではないと思う。「新自由主義・市場原理主義」に抵抗し、これらのまん延を抑えていくことが重要だと考えている。「新自由主義・市場原理主義」は財界にとって要のドクトリンだ。財界は自分の主義に合う政党・政治家に政治資金を提供し、官僚の天下り先を提供し、マスコミのスポンサーになる。それを背景に、財界はトリクルダウンのような誤説を持ち出して内部留保の拡大を謀る。これらの文脈の中で原発も推進されていく。
 財界を潰すことはできない。官僚も代えることはできないしマスコミも無くすことはできない。我々ができることは選挙で政治家を代えること以外にない。国・地方に関わらず選挙で「新自由主義・市場原理主義」者を選ばないことだと思う。小選挙区制の中で、誰が「新自由主義・市場原理主義」者で、誰がそうではないのか見極める必要がある。それが原発廃炉への道に繋がると考える。

 

本稿は宮城保険医新聞2023年2月5日(1804)号に掲載しました。

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