談話「75歳以上の医療費窓口負担2倍化法の成立は認められない」


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75歳以上の医療費窓口負担2倍化法の成立は認められない

理事長 井上 博之

 後期高齢者本人だけでなく、高齢者を支える家族にも、多大な将来不安を与える、75歳以上の医療費窓口負担の2倍化が国会で決まりました。
 6月4日の参院本会議で、自民、公明、維新、国民の賛成多数で可決、成立しました。来年度の後半中に施行されます。今回は、2割負担の対象者は370万人(後期高齢者の約20%)ですが、「原則2割化」としているように、今後政令で所得基準の変更ができ、対象者を拡げられる仕組みになっています。
 宮城県保険医協会は、日本の医療制度の安心を脅かす、とんでもない悪法だと指摘してきました。これに反対する国会請願署名にも取り組みました。全国で100万筆を超える署名を国会に届けてきました。この運動の中で、多くの県民の声も届きました。現実にも、将来的にも、深刻な不安が語られていました。これは絶対に通してはいけない法律だとの思いで、阻止する運動をしてきました。しかし、国会議員の意向を変えることができず、大変残念な結果になりました。
 さすがに窓口負担が大きくなることに対して配慮が必要だったのでしょう。3年間限定の「配慮措置」が設けられました。月額3000円を超した額を払い戻すというのですが、お金が戻ってくるのは4カ月後になるようです。これでは、お金がないと受診できません。
 菅首相は、安倍前首相に倣って、「全世代型社会保障制度を作り上げる」と述べました。このまやかしをいつまでも続けさせるわけにはいきません。「お金の心配なしに」「必要なときに必要な医療が受けられる」医療制度が求められています。財政理由で削られ続けてきた社会保障を、声を大にして再構築しなければと思います。ぎりぎりの生活をしている人に負担を求めるのではなく、負担できる人に負担してもらうのが道理です。社会保障のあり方が問われています。
 今年は、総選挙もあります。真に社会保障と呼べるような、誰もが安心して利用できる医療制度を求めて、これからも運動を続けます。

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