女川原発2号機再稼働に関する談話
2019年12月2日
宮城県保険医協会 副理事長・公害環境対策部長
杉目博厚
原子力規制委員会は、11月27日の定例会で女川原発2号機が新規制基準に適合しているとする審査書案を了承した。
しかし、この新規制基準は「原子力施設の設置や運転等の可否を判断するためのものであり、これを満たすことによって絶対的な安全性が確保できるわけではない」と原子力規制員会が明確に示している。前原子力規制委員長の田中氏も、「規制委員会は再稼働するかどうかについては判断しない」「規制基準の適合性審査であって安全だとは言わない」「絶対安全、ゼロリスクではない」と繰り返し発言していた。
原子力発電が安全ではないことは、原子力規制委員会が策定した原子力災害対策指針で、概ね30km圏に避難計画を求めており、過酷事故に備えて安定ヨウ素剤の配布備蓄をするよう指示していることからも明らかである。
避難計画は住民の放射能被曝を防ぐ為に必要不可欠であるが、この計画自体机上の空論であり、実効性が無いことは当協会が3度行った調査結果からも明らかである。
仮に、避難がなんとか出来たとしても、放射能が降り注いだ東京電力福島第一原発事故でおこった悲劇を見れば、そのあまりにも大きすぎるリスクは明らかだ。そもそも、絶対安全であるならば、事故はないのだから避難計画や避難訓練、安定ヨウ素剤配布・備蓄などいらないはずである。
「万が一に備えている」との返答が想定されるが、万が一でも原発の過酷事故はあってはならないのである。私達世代だけにとどまらず、次世代、未来永劫に事故はあってはいけない。生命と健康を脅かし、生業を奪う大きすぎるリスクを持ったものなのである。
この事を充分肝に銘じ、自治体、首長、県議会、知事は未来に大きな責任を持った判断をしなければいけない。未来に責任を持った考えであれば、当然その答えは再稼働NOであるはずだ。常識を持った判断を期待したい。
今後、審査書案は、パブリックコメントを経ることになる。その後、規制委員会が審査書を正式決定すれば安全審査に合格したこととなる。我々医師・歯科医師は、命と健康を守る責務がある。数多くのパブコメを投稿し再稼働反対の意を発信する必要があると考える。