「歯科医療機関が抱える金パラ逆ザヤ問題に関する緊急要望書」(2020.8.25)


 

厚生労働大臣
加藤 勝信 殿

歯科医療機関が抱える金パラ逆ザヤ問題に関する緊急要望書

2020年8月25日
宮城県保険医協会
理事長 井上博之

 歯科鋳造用金銀パラジウム(金パラ)の制度について、「随時改定I」により10月1日以降の金パラの告示価格は1グラム2,450円とされました。現在の2,662円から212円(8%)の引き下げとなります。この間、「随時改定Ⅱ」の新設で、7月1日に告示価格が引き上げられた矢先に「引き下げ」が生じています。現場の歯科医師にとって、今次の引き下げの決定は、今後のパラジウム等貴金属の価格動向次第で再度「逆ザヤ」の負担を強いられる懸念と不安を抱かざるをえない内容です。
 「随時改定Ⅱ」が新設された際、当協会は「根本的な問題が解消されたとは言えず、現場の実態に添った対応にはなっていない」と指摘しました。一時的に告示価格が市場実勢価格に追いついたとしても、これまで積み重なってきた巨額の「逆ザヤ」の損失を補えていません。
 今日、新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの歯科医療機関が歯科医業経営の先行きに不安を抱えています。歯科医療提供を継続するための強力な支援が求められている中で、価格改定の制度を機械的に運用し金パラ価格を引き下げることは、歯科医療機関の経営に関する不安をさらに深めることになります。
 現在の状況において金パラが再度「逆ザヤ」となれば、今後の歯科医療提供の維持・確保を脅かし、歯科医療の危機を加速しかねません。歯科医療現場では失望と怒りの声が上がっています。厚労省は直ちに再度告示価格を改定し、国民に安定して歯科医療を提供できるよう抜本的な対策を強く求めます。

一.10月1日の告示価格引き下げは中止すること

一. 政府厚労省の責任において金パラの購入価格が過不足なく保険償還されるよう、実態に即した告示価格とするための抜本的な対策をおこなうこと

以上

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