つれづれ日記 Lady go! 番外編


女性部 第7回公開市民講座

朝日新聞社 青木美希氏が講演
新聞記者が見た福島

 当会女性部は9月26日、フォレスト仙台にて公開市民講座を開催し、会場・Web参加合わせて73人が参加しました。
 7回目の今回は、震災翌日から福島で取材し、著書『地図から消される街 3.11後の「言ってはいけない真実」』(講談社出版、2018年)で貧困ジャーナリズム大賞など3賞を受賞した、朝日新聞社ジャーナリストの青木美希氏を講師に迎え、「新聞記者が見た福島―震災から10年を前にして―」と題し、講演いただきました。

青木 美希 氏

 東日本大震災から来年で10年。国は被災3県の来年度復興予算をこれまでの10分の1に大幅に削減する方針で、震災に区切りをつけようとしています。
 しかし、今年7月時点で未だ4万3000人が避難生活を続けています。それにもかかわらず国は次々と住宅提供を打ち切り、今年3月には「帰宅困難区域」に指定されているはずの700世帯についても提供を打ち切りました。
 一方で、東京都の調査によると、打ち切り後も都内に残った世帯は約7割。そのうち約3割が「世帯月収10万円未満」で、生活困窮に陥っている避難者の姿があります。
 さらに避難者の「うつ」も深刻で、福島県が昨年行った調査では、回答者の5.7%が深刻な抑うつや不安障害の可能性があるとされています。(全国平均は3%)
 講演では、被災者学費減額制度を利用し都内の大学に入学するも、在学中に支援が打ち切られ、教師になる夢を諦めざるを得なかった学生の声、津波で助けを求める声を聞いたのに、避難のため助けられなかった浪江町消防団員の声、住宅提供打ち切りによって家族がバラバラになり、長男が自死してしまった方の声など、青木さんが拾い上げた「生の声」も紹介され、10年経過しようとも決して終わらない、現在も続いている問題であると訴えました。
 また、現在はコロナ禍により、避難者はこれまで以上に声を出しにくくなっているといいます。私たちにできることは、「本当にそれでいいのか」考え続け、沈黙せず、匿名であっても声を出し続けることだと強調しました。
 最後に、福島原発に勤務し、その後避難先で亡くなった方が遺した「地震は現在を破壊した 津波は過去を破壊した 原発は未来を破壊した」という言葉を紹介し、終了しました。

本稿は宮城保険医新聞第1731号(2020.10.15)に掲載しました

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