要望書「新型コロナウイルス感染症拡大から国民・県民の命と健康を守り、 地域医療の崩壊を防ぐための緊急支援を求める」


内閣総理大臣 菅  義偉 様
財 務 大臣 麻生 太郎 様
厚生労働大臣 田村 憲久 様
経済産業大臣 梶山 弘志 様

2021年1月21日
宮城県保険医協会
理事長 井上博之

新型コロナウイルス感染症拡大から国民の命と健康を守り、地域医療の崩壊を防ぐための緊急支援を求める要望書

前略 新型コロナウイルス感染症対策に対するご尽力に敬意を表します。
 宮城県保険医協会は、12月9日から開業医会員1166名に「新型コロナウイルス感染症に関するアンケート調査(第3回)」を実施し、12月25日までに129名から回答を得ました(回収率11.1%)
 集計の結果、回答者の71.3%が前年同月比で11月の外来患者が減少しており、11月分の保険診療収入も回答者の71.3%が前年同月比で減少していました。
 インフルエンザとの同時流行に備えた「診療・検査医療機関」は、59.8%が指定を受けていないと回答し、指定を受けていても検体採取による感染リスクや自院内感染による休業リスク、誹謗中傷・風評被害などの不安を抱えており、「感染者発生の際の休業等に対する保障」、「発熱患者の紹介先の情報」、「感染者の後方連携体制の整備」などを行政に対し求めていることもわかりました。
 感染急拡大を受け、政府による第三次補正予算で医療機関への追加支援が出され、東京、大阪、愛知など11都府県(1/21現在)に緊急事態宣言が出されていますが、感染者を受け入れる医療機関はもちろんのこと、地域医療を支える全ての医療機関へさらなる物的・経済的支援が求められます。当会は国民の命と健康を守るため、下記の事項を求めます。

医科・歯科医療機関を守るための対策

一、医療機関が経営に破綻を来さないよう、減収額に応じた医療機関への概算払いや支援金の制度を設けるなどの措置を早急におこなうこと。

一、さらなる感染拡大に備えた医療体制確保のため、診療報酬の引き上げなどの措置を速やかにおこなうこと。

一、医療機関等における感染拡大防止等の支援に関して、支援金の対象は幅広く認め、申請方法などの手続きは簡素化すること。支援金は収束するまで継続し迅速、確実に支給すること。

一、従業員に支払った休業手当の助成率を、一律10/10とすること。

一、持続化給付金の継続と申請要件の緩和、福祉医療機構の医療貸付事業や日本政策金融公庫貸付などを拡充し、手続きを迅速化すること。

新型コロナウイルス感染症患者対策

一、保健所等が担ってきた相談・検査体制を民間医療機関に丸投げせず、新型コロナ感染症に対応する保健所等の人員と予算を大幅に増員し、全国どこでも相談・検査が実施できる体制を構築すること。

一、地域の医師・医療従事者が協力して検査を行う「地域外来・検査センター」を増やすこと。そのため、設置・運営費用について、国が全額を負担し、出務する職員等に十分な給与・出務費を保障すること。

一、PCR検査、抗原検査等の検査料及び判断料の保険点数(公費負担)を大幅に引き上げ、検査を実施する医療機関の尽力が報われるようにすること。また、すべての保険医療機関を「行政検査に関する委託契約を締結した」とみなし、希望する保険医療機関が医師の判断でPCR検査及び抗原検査を実施し、保険請求(公費請求)できるようにすること。

一、「発熱外来診療体制確保支援補助金」について、下記の制度改善を緊急に行うこと。
1)発熱患者等を受け入れれば保険収入があるとして補助金が減額され、1日20人(かかりつけ患者等のみを受け入れる場合、1日5人)以上診察をした場合は補助額がゼロになるのでは、現場で大変な思いをして対応した医療機関が報われない。最低給付額を設け、受診者が基準患者数を上回っても補助金がゼロとならないようにすること。
2)医療機関や医療従事者への誹謗中傷・風評被害が根絶されておらず、手上げに躊躇する医療機関が少なくない。医学的根拠に基づいた広報や教育の実施等、これまで以上に対策を講じ、医療機関や医療従事者への誹謗中傷・風評被害を根絶すること。またインターネット等を通じた医療機関名の公開は、希望する医療機関に限ること。
3)職員への危険手当の制度化や、感染した場合の休業補償、損失補填を行うこと。
4)「発熱外来診療体制確保支援補助金」と、当該補助金の支給対象である「診療・検査医療機関」の指定要件の説明が全く不足しているため、現場では混乱が生じている。また、コールセンターの電話も非常につながりにくい。混乱が生じないよう必要な対策、体制の整備を早急にとること。
5)動線分離や感染防止環境の整備、感染防護具等の供給、医療機関での検査キット等、感染対策に係る継続的な補助金を創設し、実施すること。

一、かかりつけ医等の地域で身近な医療機関において電話相談を行うこととしているが、職員による電話や窓口対応も、これまで以上の労力・対策を要する。電話での診察行為に当たらず保険請求の対象にならない医科・歯科及び介護保険施設での電話対応についても補助金を創設・交付するとともに、医科・歯科医療機関及び介護・障害者福祉サービス事業所等の報酬を引き上げること。また、医療・介護従事者に対する慰労金の対象期間の延長や支給対象の拡大などを図ること。

一、発熱患者が医療機関を受診する際には、電話などで事前に連絡をすることの周知を図ること。

新型インフルエンザ等対策特別措置法及び感染症法の「改定」について

一、新型インフルエンザ等対策特別措置法に盛り込もうと検討している、休業・時短要請を拒否した場合の罰金(罰則)の導入はやめること。罰則を強化すれば検査を受けなくなる感染者等が増加する危険性が高く、かえって市中感染が拡大する危険性があるため、特措法に基づく休業・時短要請に実効性を担保させるには、市中感染が拡大する危険性のある罰金(罰則)の導入ではなく、事業者への十分な補償を実現すること。

一、感染症法改正案として検討している、入院勧告を拒否した感染者に対する刑事罰を含む罰則規定、軽症者の自宅・宿泊療養の義務化、厚生労働大臣や知事が医療機関に協力を勧告できる規定、勧告に応じない医療機関を公表できる規定の導入はやめること。

一般診療継続のための対策

一、医科・歯科医療機関のすべての職員について、公費負担により新型コロナウイルス検査を、定期的に実施できるようにすること。

一、新型コロナウイルス感染症拡大によって施設基準や研修要件が満たせない事態が発生していることから、すべての施設基準および研修要件について、別に厚生労働大臣が定めるまでの間は、要件を満たしているものとして取り扱うこと。

一、医療用マスク、消毒液、ディスポーザブルのガウン、ゴーグルやフェイスシールド、医療用グローブなどの確保を国・自治体としておこなうこと。

国民に必要な医療確保のために

一、低所得者および収入が減少した世帯の医療保険の保険料・窓口での一部負担金の徴収を直ちに猶予し、一定所得以下については免除すること。

一、75歳以上への窓口負担2割導入は中止し、2割負担導入をめぐる審議は凍結・見送ること。

一、通常の国保証をすべての加入者に届け、国保資格証明書の交付を止めること。

一、無保険者をなくすこと。当面無保険者であっても新型コロナウイルス検査や通常の医療が受けられるようにし、受療案内を徹底すること。

一、必要な受診を控えないよう、国民に向けて積極的に広報をおこなうこと。

感染症対策の抜本的強化

一、病院の再編・統合計画、地域医療構想に基づく急性期病床を中心とする病床削減は直ちに中止すること。地域医療構想を前提とした医師・看護師需給計画を抜本的に見直すこと。

一、保健所数の拡大と適切な配置、人材の確保等、改善を図ること。

一、国立感染症研究所を機能強化するなど、感染症に対応できる仕組みを構築すること。

一、地域の各医療機関が十分な感染対策がとれるよう、財政支援をおこなうこと。

 

宮城県知事 村井 嘉浩 様

2021年2月9日
宮城県保険医協会
理事長 井上博之

新型コロナウイルス感染症拡大から県民の命と健康を守り、地域医療の崩壊を防ぐための緊急支援を求める要望書

前略 新型コロナウイルス感染症対策に対するご尽力に敬意を表します。
 宮城県保険医協会は、12月9日から開業医会員1166名に「新型コロナウイルス感染症に関するアンケート調査(第3回)」を実施し、12月25日までに129名から回答を得ました(回収率11.1%)
 集計の結果、回答者の71.3%が前年同月比で11月の外来患者が減少しており、11月分の保険診療収入も回答者の71.3%が前年同月比で減少していました。
 インフルエンザとの同時流行に備えた「診療・検査医療機関」は、59.8%が指定を受けていないと回答し、指定を受けていても検体採取による感染リスクや自院内感染による休業リスク、誹謗中傷・風評被害などの不安を抱えており、「感染者発生の際の休業等に対する保障」、「発熱患者の紹介先の情報」、「感染者の後方連携体制の整備」などを行政に対し求めていることもわかりました。検査をおこなわない医療機関でも、発熱患者への対応を日々求められているのが現状です。医療スタッフが感染した場合、長期休業を余儀なくされ地域医療崩壊につながりかねません。
 感染急拡大を受け、政府による第三次補正予算で医療機関への追加支援が出され、東京、大阪、愛知など11都府県(1/21現在)に緊急事態宣言が出されていますが、感染者を受け入れる医療機関はもちろんのこと、地域医療を支える全ての医療機関へさらなる物的・経済的支援が求められます。すべての医療機関が感染リスクの中で地域医療を守っています。当会は県民の命と健康を守るため、下記の事項を求めます。

医科・歯科医療機関を守るための対策

一、新型コロナ感染者受け入れた医療機関も受け入れていない医療機関も経営に破綻を来さないよう、減収額に応じた医療機関への支援金の制度を設けるなどの措置を県として早急におこなうこと。

一、国に対して、すべての医科・歯科医療機関が経営破綻を起こさず、日常診療を維持できるように診療報酬引き上げや概算払い等の減収補填策を講じるよう求めること。

一、県内各市町村独自の支援金等について、県として把握し、わかりやすく周知すること。

新型コロナウイルス感染症患者対策

一、保健所等が担ってきた相談・検査体制を民間医療機関に丸投げせず、新型コロナ感染症に対応する保健所等の人員強化を含め、これまでの相談・検査体制のいっそうの強化を図ること。

一、地域の医師・医療従事者が協力して検査を行う「地域外来・検査センター」を増やすこと。

一、診療・検査医療機関に対し、県独自の協力金を支給すること。

一、医療機関職員への危険手当や感染した場合の休業補償、損失補填の支援をおこなうこと。

一、動線分離や感染防止環境の整備、感染防護具等の供給、医療機関での検査キット等、医科、歯科すべての医療機関に対し感染対策に係る継続的な補助金などの支援を実施すること。

一、発熱患者が医療機関を受診する際には、電話などで事前に連絡をすることの周知を図ること。

一、発熱患者の紹介先医療機関の情報をすべての医療機関に周知すること。コールセンターの電話もつながりにくく、混乱が生じないよう必要な対策、体制の整備を早急にとること。これらも含め、感染者の後方連携体制を整えること。

一、ワクチン接種に関し、有効性、安全性、副反応の情報や接種方法、体制、準備状況等について医療機関、県民に丁寧な説明と正確な情報提供をおこなうこと。

一、発熱患者が医療機関を受診する際には、電話などで事前に連絡をすることの周知を図ること。

一般診療継続のための対策

一、医科・歯科医療機関のすべての職員について、自己負担なく新型コロナウイルス検査を、定期的に実施できるようにすること。

一、医療用マスク、消毒液、ディスポーザブルのガウン、ゴーグルやフェイスシールド、医療用グローブなどのひっ迫状況を宮城県として把握し継続した支援をおこなうこと。

県民に必要な医療確保のために

一、通常の国保証をすべての加入者に届け、国保資格証明書の交付を止めること。

一、無保険者をなくすこと。当面無保険者であっても新型コロナウイルス検査や通常の医療が受けられるようにし、受療案内を徹底すること。

一、必要な受診を控えないよう、県民に向けて積極的に広報をおこなうこと。

一、県内3病院の統廃合をはじめとする病院の再編・統合計画、地域医療構想に基づく急性期病床を中心とする病床削減は直ちに中止すること。

一、新型コロナ感染症を教訓に保健所の支所化は改め、機能強化の方針に転換すること。

 

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