シリーズ「女川原発廃炉への道」No,13


シリーズ「女川原発廃炉への道」

出来レース、女川原発再稼働

公害・環境対策部員 加藤 純二

 女川町議会と石巻市議会は女川原発再稼働の請願・陳情を採択し、次いで県議会も請願を採択し、宮城県知事は女川原発再稼働に同意した。しかし再稼働は女川原発2号機の復旧工事を始めた時から決まっていたと考えるべきだ。数千億円の費用をつぎ込むからには、同意が最終的には出るという見込みがあったからである。住民投票を行わないことも、原子力規制委員会の規制をパスすることも、既定の方針であった。つまり結論は最初から決まっており、いかにも時間をかけて熟慮したふりをして東北電力に協力したのであると私は思う。このようなやり方を出来レースという。
 茨城県には東海第二原発がある。その30キロ圏内には6市村約96万人が住んでいる。そのうちの一つ那珂市の海野(うみの)徹市長が平成30年11月末、再稼働に反対の意見を表明した。地元同意が得られないとなると、日本原子力発電は「地元同意は再稼働への拒否権ではない」と言い出し、そのうち那珂市長は突然辞意を表明した。「広報なか」には彼の辞任の弁が載った。「自分は住民の意向(市民アンケートでは65%が反対)に沿った。…長期政権は腐敗する」しかし彼は二期の途中で長期ではなかった。何があったのか、彼の胸中は分からない。ただ東海第二原発の再稼働に曖昧な態度を取り続け、最終的には忖度して同意することはしなかった。宮城県議会の与党の中で採決に棄権したのは藤倉知格氏(富谷・黒川、8期)ただ一人であった。一方、「乗り物に事故があるからといって乗り物を廃止にはできないのと同じ」だと知事は述べた。原発事故を交通事故と同じとみなす論理には、あきれてしまう。

 

本稿は宮城保険医新聞2020年12月15日(1737)号に掲載しました。

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