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宮城保険医新聞「ほっとするコーナー」4月25日(1748)号掲載(会員専用)
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投稿「PCR検査 宮城県は大規模検査の具体化を」
Posted on
2021年5月6日
by
adminhok
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PCR検査
宮城県は大規模検査の具体化を
北村神経内科クリニック 北村 龍男
新規感染者は減少しているが安心できる状態にはない
政府は宮城県の新型コロナウイルス対策「まん延防止等重点措置」を5月11日まで延長した。宮城県では、この間新規発症患者は減少しているが、不十分である。「入院者数は高止まりで重症者も多く、依然として予断を許さない状態」と村井知事(河北、4月26日)も述べている。感染力の強い変異株の拡大も懸念される。また、ワクチン接種も始まったばかりで、医療従事者さえこれからと言って良い状況である。宮城県も安心出来ない状態で、仮に「措置」が解除され対策を怠れば再び患者数の増大が懸念される。
感染者の早期発見、特に感染経路不明者の把握が重要
新型コロナウイルス感染症対策の第一歩として、大規模なPCR検査は必須である。地域の状態を把握するのに大規模なPCR検査が必要である。陽性者を見いだし、隔離・入院することで、コロナ患者の増大を阻止する。
厚労省の4月23日の更新発表によると4月22日現在、宮城県の患者数は7,808人である。 4月9日~15日の1週間の新規患者は534人、1日平均76.3人、16日~22日の1週間の新規発症患者は389人、1日平均は55.6人である。新規患者は減少している。
この期間に行われたPCR検査は9日~15日は8842人で1日平均1263人、16日~22日は5016人、1日平均716名であった。PCR検査数が少なくなったことが、新規患者の確認の減少に影響しているかもしれない。
一方、感染経路が特定出来ていないのは、同じ日の厚労省発表で4月3日~9日が299人46%、4月10日~16日が93人20%である。感染経路不明者が多く、濃厚接触者や37.5度以上の発熱者のみの検査では、感染拡大を阻止することは出来ない。無症状感染者を見つけることが必要である。
(厚労省の発表は、患者数の発表と感染経路不明者の期間は異なる。感染経路の確認には一定の時間がかかるためにこの様な発表になっているのだろうか?。)
この様な状況で早期にPCR検査を増やすことは肝要である。特に、①行政検査の対象を増やす、②医療・介護、飲食店など時短陽性業種の従業員の定期的な検査、③モニターリング検査の拡大を提案する。
行政検査の対象を増やす
症状のある方、濃厚接触に止まらず、接触の明らかな方の検査も必要である。発熱外来には、受診・相談センターでPCR検査(行政検査)対象外とされた方、同じ職場で陽性者が出た方などが、PCR検査を希望して来院することが少なくない。先日、北部急病診療所の準夜勤を担当した。ある看護師が受診した。前日より発熱36.8度(平熱は35度台半ばだそうで、発熱患者と考えて良いだろう)・関節痛、当日にだるさがあり、センターに相談したところ、体温が37.5度以下だからPCR検査(行政検査)の対象外と言われ、勤務先からはPCR検査陰性を確認してから出勤するようにと指示された。対症の処方をすると共に、PCR検査を積極的に取り組んでいるクリニックを紹介した。
行政検査の対象範囲を広げることが必要である。PCR検査(行政検査)の対象基準は、厚労省通知によると上記の表の通りである。発熱外来などの臨床現場は、医師が必要と考えれば、行政検査としてPCR検査が認められているが、厚労省の対象基準では、「当該感染症の疑似症患者」「当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者」とされており、積極的な検査に待ったを掛けられている印象を持つ。
発熱については37.5度以上と示されているが、平熱が35度台の人は少なくない。発熱には個人差があることを認識すべきである。
国・厚労省は積極的にPCR検査を行政検査として行える様に、現在の対象基準を改める必要がある。
医療・介護従事者、飲食業従事者など時短の対処になっている業種の従業員に定期的検査が必要である。
これらの従事者がコロナに感染した場合には、クラスター発生の危険が高い。
金田県議の情報では、高齢者施設等での従業員に対する「頻回の」抗原定性検査(宮城県)、抗原定量検査(仙台市)も開始される。集中的PCR検査も仙台市繁華街での実施(4724人)を経て、当面仙台市全域の飲食店従業員に行うことになっている。抗原検査はPCR検査と比較し感度が低く、PCR検査の実施が望ましい。一方抗原検査には安価で、結果がすぐ出るという利点があり、頻回に行うならばPCR検査を補うのに有用である。飲食店従業員へのPCR検査は、仙台市以外のより広い地域での実施が必要である。
モニタリング検査を大規模に
感染経路が明らかでないケースも少なくない。多くの無症状者の検査が必要である。この点で、国の事業として行なわれているモニタリング検査は有用である。モニタリング検査は2月下旬の栃木県を皮切りに順次始まった。4月19日時点で5万6399キットを配布し、3万3616件検査し、31件(0.09%)が陽性疑いであった。実施件数が少ない。
宮城県では4月23日から25日まで1日250配布して実施するとの報道があったが、これでは不十分であるのは明らかである。
国の方針は1日1万件の目標を掲げている。この1万人は人口比で見ると宮城県はおおよそ1日180人に当たる。この数字は新規感染者が増加している状態、感染経路不明者が多く、感染力が強い変異株が広まっていることを考えると、この数のモニタリングでは状態を把握できない恐れがあり、より大規模な検査実施が必要である。しかし、現状ではまず最低この数を継続的にきちんと毎日実施することを求めたい。その上で数倍~10倍の検査を目標にするべきであろう。
自費PCR検査について
自費検査を希望する方も少なくない。自費検査にはいろいろな理由がある。出張など何らかの用件で緊急事態宣言地に出かけ戻ってきた方など。多くの方、また、多くの企業が自費のPCR検査を受けている。PCR検査を必要としている方、更に検査を希望している方に、行政の負担で検査を受けられる条件をつくることを求めたい。
尚、自費によるPCR検査の実数、結果がどう生かされているかは把握されていない。また、自費のPCR検査は異業種からの参入も多く、これまで精度管理について国のマニュアルはなかった。厚労省はPCR検査精度管理のマニュアルを発表したと4月18日報道された。自費のPCR検査には慎重な対応が必要である。
国・自治体が責任を持って、大規模検査を精度管理を
日本のPCR検査数は、国際的に見ても140位以下が続いている。きちんとした精度のPCR検査を大規模に行うことは、今後の感染拡大を防ぐ上で必要である。国・自治体が責任をもち十分な精度管理の下で大規模PCR検査、変異株検査を行うことが、感染拡大を防ぐために必須である。
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