シリーズ「女川原発廃炉への道」
女川原発2号機の再稼働を許すな
歯科・仙台市 宇根岡 實
7月12日、東北電力女川原発2号機の「制御建屋」において、硫化水素を吸い込んだことにより、協力企業作業員7名の体調不良が発生するという事故が起きた。
管理区域内で使用した防護服には放射性物質が含まれるため、洗濯槽において別個に処理される。その際、洗剤(界面活性剤)、衣服の汚れ(皮脂)などの有機物と洗剤に添加された硫酸塩により、嫌気状態であると硫酸還元菌(嫌気性菌)の働きによって、危険な毒ガスである硫化水素が発生する。硫化水素の発生を抑制するため、日常的に空気注入、攪拌作業がなされているが、当時は何らかの不具合のため、1号機の洗濯槽で発生した硫化水素が配管を伝わり2号機で事故が発生したということである。
ここで問題なのは、廃炉が決まり、廃炉作業中の1号機の「廃棄物処理建屋」と新規制基準による安全性審査を経たはずの2号機の最重要施設の一つである「制御建屋」が、「換気用配管」でつながっているという点である。このことは、女川原発の構造に関する重大な欠陥と考えられる。県内各地の38団体は、9月15日に連名で原子力規制委員会の更田豊志委員長に「再稼働適合」審査のやり直しを要請するとともに、石垣のりこ参議院議員の仲介により、団体の代表者による規制庁との直接交渉を行った。
東北電力によると、22年度中(23年3月)に女川原発2号機の再稼働を目指しているとのことである。
しかし、原子力規制委員会の適合性審査のうち、「原子炉設置変更」については昨年2月に許可は下りているが、残りの「工事計画」と「保安規定変更」はこれからである。
課題山積の2号機の再稼働は許されない。
本稿は宮城保険医新聞2021年11月5日(1765)号に掲載しました。