2022年4月 理事長挨拶


(2022年4月)

今次診療報酬改定について

理事長 井上 博之


 昨年12月22日、政府はこの4月からの診療報酬改定率を発表しました。これに基づいて、2月9日に、中医協が診療報酬改定について答申しました。
 全体の改定率は0.94%の引き下げです。5回連続のマイナス改定となりました。診療報酬本体の改定率はプラス0.43%と2年前の改定率プラス0.55%を下回りました。
 社会保障費削減を至上命題に置く、政府の意向が露骨に示された改定内容となりました。医療崩壊や医療ひっ迫が話題となったコロナ禍の教訓は、あまり活かされませんでした。限られた財源の中での改定ではありますが、見逃せない政策誘導的な内容が盛り込まれました。
 十分な検証がないまま、デジタル化ありきの改定を強行しようとしています。例えば、オンライン資格確認システムへの加算を新設しました。これによりマイナンバーカード普及を図ろうというわけです。国家による個人情報の管理強化の狙いが透けて見えるだけに注意を要します。
 「オンライン診療」の緩和も図られています。利便性からだけでは測れない問題を内包しています。慎重に対応していくことが求められています。
 あからさまな受診抑制を狙う「リフィル処方箋」の導入にも注意が必要です。
 保団連と全国の保険医協会は、国民医療の維持・向上のため、診療報酬の大幅引き上げを求めて運動してきました。部分的には、掲げた要望が実現した項目もあります。歯科治療の金属材料「金パラ」の逆ザヤ問題の解決への提言が、今回の改定で活かされました。
 医療と社会保障の縮小を許さず、社会保障を守り発展させる政治を求めます。宮城県保険医協会は、今後とも医療改善運動を粘り強く進めてまいります。

 

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