当会は、9月15日付で以下の声明を決定し、内閣総理大臣、総務大臣、厚生労働大臣、宮城県選出国会議員に送付しました。
抗議声明
オンライン資格確認システム導入「義務化」の撤回を求め、中医協の答申に強く抗議する
2022年9月15日
宮城県保険医協会
理事長 井上博之厚労省は8月10日、中医協総会を開催し、患者によるマイナンバーカードの健康保険証(以下マイナ保険証)利用が進むよう、2023年4月からオンライン資格確認システム導入を原則義務付ける療養担当規則の改正案と、これに伴う今年10月からの電子保健医療情報活用加算の廃止とマイナンバーカードの健康保険証利用の促進を狙った診療報酬の見直しについて答申した。
改正案では、義務化の対象について紙レセプト請求以外の医療機関とされている。病院は99.5%、医科診療所の96.5%、歯科診療所91.4%が対象となる。厚労省は9月末時点で概ね5割の導入を目指すとしているが、現時点での導入ペースでは目標には届かない状況との認識を示している。
今回の診療報酬の見直しは「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」となっているが、患者にとって負担増になる(通常の保険証の場合は初診時に4 点加算、マイナ保険証の場合は 2点加算と被保険証で初診時の診療報酬に差を設けた)。患者が望む・望まないにもかかわらず、オンライン資格確認に患者負担を強いるのは言語道断である。ましてや診療報酬でオンライン資格確認システム導入に誘導するのは姑息で許すことができないやり方である。現在の健康保険証の目視確認で特段大きな支障がないにも関わらず、「義務化」でシステム導入やランニングコスト、セキュリティ対策など負担とリスクを一方的に医療機関に押しつけることになる。「義務化」を強行することで医療現場の混乱が増すことは必至だ。
8月14日現在、運用開始施設は26.8%に過ぎず、2023年3月末までに概ねすべての医療機関がシステム導入を目指すのは無謀と言わざるを得ない。8月24日に開催された厚労省・三師会の医療機関・薬局向け合同説明会で、厚労省はオンライン資格確認が原則義務化されることを前提に、速やかに導入準備を進めること、2023年4月導入に間に合わず療養担当規則に違反した場合は保険医療機関等の指定の取り消し事由になりうると説明し、力ずくで推し進める態度に出ていることは憤りを禁じ得ない。
この間、当会には、「導入しないとどうなるのか」「情報漏洩やセキュリティが心配」など、会員から問い合わせや不安の声が数多く寄せられている。
当会は、医療現場に混乱を持ち込むオンライン資格確認システム導入「義務化」の撤回を求めるとともに、8月10日の中医協答申に強く抗議する。