当会は以下の要望書を内閣総理大臣、厚生労働大臣、総務大臣、デジタル大臣に送付しました。
2022年11月17日
内閣総理大臣 岸田 文雄 様
厚生労働大臣 加藤 勝信 様
総務大臣 寺田 稔 様
デジタル大臣 河野 太郎 様宮城県保険医協会
理事長 井上博之オンライン資格確認システム導入義務化と健康保険証廃止は撤回してください
2023年4月から医療機関や薬局に対するオンライン資格確認システム導入の義務化、2024年秋に健康保険証を廃止するという政府方針に、当会は会員1616名にアンケート調査を実施したところ、回答の7割以上が「反対」という結果でした。
政府は来年3月末まで、国民のすべてにマイナンバーカードが行き渡ることを目標としています。しかしながら普及率は国民の約5割で、保険証利用(マイナ保険証)の登録件数はカード所持者の約4 割という現状です。当会のアンケート調査でも、「オンライン資格確認を運用している」「顔認証付きカードリーダーを申し込んだ」という回答は2割にも満たない結果です。また、回答した多くの会員が「システム導入に向けた設備投資やランニングコストが負担」「システム導入の必要性を感じない」「医療機関窓口の事務負担の増加」「マイナンバーカード紛失やマイナンバー漏洩などを危惧」「セキュリティ面で不安」との懸念を抱えていました。8月10日中医協答申ではシステム導入義務化について、「12月末までの導入状況を検証し、地域医療に支障を生じる等やむを得ない場合は、その期限も含め検討する」付帯意見が示されました。現実的に義務化は実現できる状況ではありません。
デジタル庁の調査でも、マイナ保険証を申し込まない主な理由に「メリット・必要性を感じない」「手続きが面倒」「情報流出が怖い」などがあげられました。当会のアンケート調査でも「国の情報管理の信頼性が低い」「現行のシステムを継続することにデメリットがあるのか明らかにしてほしい」「セキュリティ上の問題があり、安心して使える状況にない」などの意見がありました。国民皆保険制度で現行の保険証を廃止することは、全国民にマイナンバーカード取得を強制することになり、マイナンバーカード取得が「任意」とする法令に明らかに抵触します。保険証は従来通り交付することを原則とすること、マイナンバーカードの利用は任意とする形がもっとも簡便かつ合理的です。命と健康に直結する「医療」を盾に取り、マイナンバーカードの普及を狙うことは言語道断です。
当会の調査で、オンライン資格確認システム導入義務化、健康保険証廃止をめぐる政府の姿勢に対し、「あまりにも性急に事を進めている」「強硬すぎる」「丁寧な説明、周知がなされていない」の意見が寄せられました。政府には性急な義務化や廃止時期を表明して現場を混乱させるのではなく、国民の理解が得られるよう議論を尽くし丁寧な説明に努めることを望みます。まずは、オンライン資格確認システム導入の義務化と健康保険証の廃止方針は撤回してください。