「保険で良い歯科医療の実現を求める請願署名」にご協力ください
国民に広く あるべき「水準の歯科医療」を提供するために
理事 五十嵐 公英
前回の保険点数改訂から1年がたち、来年の改定に向けた準備が始まった。国民の受ける医療の大部分が保険診療であることから、内容や範囲などを規定している診療報酬の改定は、実質的にはあるべき「水準の歯科医療」を法制化していることになる。
2020年度の国民総医療費は約43兆円。内、歯科の割合は7.0%の3兆22億円だった。昨年9月末の全国の歯科診療所数は、6万7759施設だから1施設当たりの平均年収は約4435万円となる。1カ月369万円。この程度の収入では折角保険導入された口腔細菌定量検査器、手術用マイクロスコープ、レーザー機器やCTなどの高額機器を備え、患者により良質の歯科医療を提供できる施設が、果たしてどれほどあるだろうか。さらに昨今の急激な諸物価の値上がりで、歯科診療所の運営自体はいっそう厳しさを増している。1990年バブル経済がはじけ、総医療費に占める歯科の割合が低下し始める前の歯科の割合は、10%だった。もし、現在もこの10%の比率が維持されていれば、平均年収は6000万円を超え、月500万円の収入となる。診療報酬改定が求める「水準の歯科医療」が広く国民に提供される強力な足がかりとなるであろう。
患者本位の保険でより良い歯科医療を提供し、現場で直面する課題を改善するためにも患者窓口負担軽減と合わせて、診療報酬の大幅引き上げと一般的に普及している新規技術の保険適用を求めていきましょう。
本稿は宮城保険医新聞2023年3月15日(1808)号に掲載しました。