声明「健康保険証廃止法案の衆議院可決に抗議し現行の健康保険証の存続を求める」


 当会は、5月2日付で以下の声明を決定し、内閣総理大臣、厚生労働大臣に送付しました。

 

2023年5月2日

【声明】

健康保険証廃止法案の衆議院可決に抗議し
現行の健康保険証の存続を求める

宮城県保険医協会
理事長 井上博之

 現行の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一本化することを含んだ「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案(マイナンバー法等一部「改正」法案)」が、4月27日、衆議院本会議において、自民党、公明党、維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決された。
 法案審議は4月18日に始まったばかりで、実質的な審議時間は参考人質疑も含めてわずか13時間である。短時間の審議の中でも、健康保険証廃止によって無保険者が発生してしまうこと、医療や介護の現場での混乱など、多くの問題点が指摘され、健康保険証の廃止に道理は無いことが明らかとなっている。
 問題点が明らかになるにつれ「保険証廃止やめて」の世論は広がっている。全国保険医団体連合会がおこなった高齢者施設への影響調査では、特養など高齢者施設の94%が「利用者・入所者のマイナンバーカードを管理できない」と回答している。このまま健康保険証の廃止が強行されれば、利用者・入所者は医療へのアクセスに困難を抱えることになり、現場は大混乱に陥る。
 そもそもマイナンバーカードを持つことは法律上「任意」であるが、将来的に健康保険証が廃止され、「マイナ保険証」に一体化されれば、実質的には全員が持たなければいけない「強制」にほかならない。政府はマイナ保険証を持たない場合は「資格確認書」を発行するとしているが、すべての被保険者に被保険者証(健康保険証)を発行・交付するという公的医療保険制度の大前提を覆すものである。法令上も保険者に義務付けられている被保険者証の「発行・交付義務」を「申請主義」に転換させることは、国民皆保険制度の根幹を揺るがし、被保険者(国民)に大きな不利益をもたらす。
 いまだ国民の4人に1人がマイナンバーカードをつくっておらず、健康保険証としての利用登録は約66%である。カードを取得しない最も大きな理由は「情報流出が怖いから」で、「申請方法が面倒だから」「メリットを感じないから」がこれに続く。政府は相次ぐ異論を受けて、健康保険証廃止の矛盾・問題を糊塗する弥縫策を逐次検討しているが、国民多数の不安の声、医療や介護現場の懸念の声に正面から答えているとはいえない。これまで同様、健康保険証は全員に交付した上で、マイナンバーカード利用は任意とするのがもっとも簡便かつ合理的である。
 国民のいのちや健康にかかわる重要法案を、審議を尽くさずに採決することは断じて許されない。当会は拙速な採決に抗議するとともに、国民皆保険制度を守るため現行の健康保険証の存続を強く求め、マイナンバー法等一部「改正」法案は立法府の責任として徹底審議のうえ、廃案とすることを求める。

 

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