シリーズ「女川原発廃炉への道」No,44


シリーズ「女川原発廃炉への道」

次世代に引き継げる安全安心なエネルギー政策を

内科・仙台市 千葉 明日香

 この原稿を書こうとする傍らで、国会ではGX(グリーントランスフォーメーション)推進法、電気事業法など関連法をあわせた「GX脱炭素電源法」が成立しました。脱炭素社会への取り組みを進める方策が示される一方で既存原発の運転期間延長・再稼働促進、原発新設など「原発回帰」の内容が含まれている施策に「東日本大震災で福島第一原発事故を経験した教訓から原発に依存するエネルギー政策の転換を模索してきたはずなのに、今、なぜ?」とモヤモヤしました。
 宮城県では昨年来、知事が「原発再稼働への県民の理解が深まっていることは望ましい」と述べ、東北電力が来年2月に女川原発2号機を再稼働すると公表しています。
 女川原発は1号機が廃炉方針、3号機は将来的に再稼働方針だが未定。今回再稼働予定の2号機は事故を起こした福島原発と同じ古い型の原発で、何度も基準地震動を超える地震に見舞われ、多数の破損個所の出た被災原発で、再稼働に向けて格納容器の一部である圧力抑制室の大規模耐震補強工事を必要とした原発です。事故発生時に地元住民の安全を確保する避難計画も不十分なまま、見切り発車で再稼働するのは危険なこと。心配です。
 使用済み核燃料の処理方法も、重大事故発生時の収束を担うべき国や事業者の責務も未定のまま、原発の稼働を続けることにそもそもの不安と疑問がありました。原発回帰ではなく、複数の選択肢を持ち、温暖化ガスを出さない次世代に安心して引き継げる自然エネルギーに切り換えていく方向で、議論を深めてほしいと願います。世界でも日本でもさまざまな試みがされていることに希望を感じ、国にはそれを保護する政策を求めたいと思います。女川原発の再稼働に反対と訴えることもすべての原発を廃炉へという道の一歩、世界の大きな流れの中の一歩だと改めて思ったら小さなモヤモヤは晴れました。いつか「女川原発廃炉への道」このシリーズが役割を終えて完結する日が来ますように。

 

本稿は宮城保険医新聞2023年6月25日(1817)号に掲載しました。

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