シリーズ「女川原発廃炉への道」No,45


シリーズ「女川原発廃炉への道」

生成AIから見えてきた日本の原発政策

理事 島 和雄

 生成AIに日本はなぜ原発を止めることができないのかを聞いてみたところ、「資源の限定性・エネルギーの需要と安定供給・温室効果ガス削減・エネルギー政策と経済への影響」といった回答を得た。これを原発の危険性と比較してみた。
 まず、「資源の限定性」。日本はエネルギー資源に乏しく、十分な量のエネルギー資源の確保が難しいためと説明されている。しかし日本は太陽光、風力、水力、地熱、波力等、他国と比べ豊富な自然エネルギー資源に恵まれている。次の「エネルギー需要と安定供給」についても、送電システム等の改善や効率の良い充電器の開発、揚水発電応用等で解決できるし、安定供給も原発の危険性を超えるものではない。「温室効果ガス削減目標」としても自然エネルギーこそ適していると言える。
 残る問題は「エネルギー政策と経済への影響」である。生成AIは、日本のエネルギー政策は電力の供給安定性と経済への影響を考慮したものであるという。原発の閉鎖は「代替エネルギー源の整備や輸入エネルギーの増加」、それに伴う「経済的負担増の可能性」を予測する。しかし、閉鎖に伴う前者の課題は送電システム等の変更と再生可能エネルギーの活用で解決可能である。問題は後者の経済的負担増への可能性だ。
 中曽根元首相以来の原発政策は、新自由主義の流れに乗って突き進んできたが、今となっては引くに引けない経済的負担となっている。市場優先のためには原発稼働推進に舵を切るしかない。となると、原発推進は電力の供給安定性のためではなく、原発依存者・既得権者の経済への影響に配慮した政策であることがはっきりする。市民・住民の生活・生命を危険にさらしても、持てる者のために市場経済を優先する新自由主義の特徴が原発の稼働推進という形になる。廃炉への道は新自由主義の終焉への道とも言えるのではないか。
 余談だが、生成AIに時を変えて同じ質問をすると、違う文言となって応えてくる。お試しあれ。

 

本稿は宮城保険医新聞2023年7月25日(1820)号に掲載しました。

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