(2023年7月)
暑中お見舞い申し上げます
理事長 井上 博之
皆様、暑い夏をいかがお過ごしでしょうか。涼しい話題を送りたいところですが、そんな状況にはありませんね。
政府の無謀な保険証廃止方針強行に怒りが収まりません。国民の強い不信を呼ぶところとなり、内閣支持率の低下につながったと言われています。暑い夏をますます暑くする事態は、秋の臨時国会まで続くことになりそうです。
1年半が経とうとしていますが、今夏もウクライナの戦火は止まず、戦争と平和の問題を考えざるを得ません。
1989年以来、保団連・保険医協会が掲げてきた「開業医宣言」には以下のようにあります。「10.平和の希求~人命を守る医師はいかなる戦争をも容認できない。私たちは歴史の教訓に学び、憲法の理念を体して平和を脅かす動きに反対し、核戦争の防止と核兵器廃絶が現代に生きる医師の社会的責任であることを確認する。」
私個人のことで恐縮ですが、平和への想いはどこから来るのか、改めて考えてみました。1946年5月に京都に生まれた私は、母の胎内で被爆していたかもしれません。京都への原爆投下を検討した米軍の会議録など、米公文書館の開示資料を解明したレポートを読みました。もし計画通り京都に原爆が落とされていたらと想像してしまい、大変複雑な想いになりました。そして原水爆禁止運動にもっと関わらなければという想いを強くしました。
7月23日、「第37回宮城県原爆死没者追悼平和記念式典」に参加しました。宮城県原爆被害者の会の主催です。平和宣言は仙台市の中学2年生が話しました。「核兵器の恐怖を体験した日本が『核の傘』に甘んじていてよいのでしょうか。…日本には現状を変える力があります。日本だからこそできることがあります。」立派な宣言でした。平和を求める運動の根強さと希望を感じました。被爆者である会長による追悼のことばでは、核兵器禁止条約の発効により世界は新しい変化を見せていると語られました。
この夏、平和を希求する爽やかな風が吹くことを期待したいものです。