投稿「宮城野原広域防災拠点整備事業の再評価調書に対する意見」


宮城野原広域防災拠点整備事業の再評価調書に対する意見

宮城県保険医協会顧問、東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター世話人 北村 龍男

 本文は、宮城県が募集した「県民の意見提出手続き(パブリックコメント)」に応じて、宮城県に提出しました。

 宮城県が令和5年11月22日に公表した「宮城野原広域防災拠点整備事業の再評価調書」に対する意見を述べる。特に、広域防災拠点と基幹災害拠点病院が隣接していることの必要性、重要性と工期の遅れ、事業費増に関して述べる。

意見:両者への交通網は別ルートが望ましい。隣接する必要は無い。

【理由】
・一刻を争う傷病者・患者輸送は、直接医療機関に搬送が必要である。
・医療に関する物資は、基幹災害拠点病院に保管する。
・DMATの集結場所は、基幹災害拠点病院とする。
・傷病者・患者搬送と支援隊集結・物資輸送のルートは重ならない様にすることこそが必要である。
・尚、基幹拠点病院と広域防災拠点は、距離の問題でなく、情報の共有が確実におこなえるようにする必要がある。

意見:大規模災害時には、療舎は備蓄・輸送の内容で分けておいた方が有用である。

【理由】
・傷病者・医薬品の緊急輸送に、広域防災拠点を経由するメリットは、海外からの支援受け入れも含め例外的と思われる。
・備蓄に関しても、医療に関する備蓄を分け基幹災害拠点病院に置くことは、災害発生時に有用である。

意見:広域防災拠点の遅れ、事業費増の原因は、宮城野原ありきが原因である。

【理由】
・事業期間は再評価調書ではH26~R14となっている。事業着手時にはH26~H32とされていた。大幅な遅れである。
・事業費増は、宮城野原に広域防災拠点をおくことを前提としたためにおこった。再評価調書では事業費は 422億円となり、事業着手時には300億円とされていた。
・工期の遅れ、事業費増大の原因は、国道4号函渠工事の補助工法の追加などの事業が追加されたことによる。
・選定にあったって、事前調査が不十分であり、宮城野原ありきの選定だったと思われる。

意見:広域防災拠点と基幹災害拠点病院へのルートは分けることが有用である。

【理由】
・東部道路と宮城野原地域を結ぶ道路整備が進んでいる。災害時に渋滞、通行不可が起こる可能性がある。また、確保するルートは1本でよいのか?
・東道路より宮城野原地域までは、広い道路になっているが、その先は行きどまり。大変流れの悪い状態が生まれる可能性がある。

意見:広域防災拠点の代替案、検討が必要である。

【理由】
・県の案では、代替案は「ない」とされている。”宮城野原”ありきの選択で、発想の貧困である。県民の知恵を生かす姿勢がみられない。
・例えば、東道路とバイパスの間に広域防災拠点を置くことは比較検討されるべきである。

意見:情報発信、丁寧な説明というが形式的である。

【理由】
・”代替え案”ないという姿勢で、形式的なパブリックコメントや”丁寧な説明”に終始している。

〈参考:再評価調書の要点〉
調書作成:令和5年11月22日
事業名:宮城野原広域防災拠点整備事業
根拠法令:都市公園法
事業目的:
傷病者の域外搬送機能の充実強化、
広域支援部隊の一時集結場所やベースキャンプ用地の確保
物資輸送中継点の整備
事業内容
整備内容:防災センター(管理棟)、ヘリポート、芝生広場、グラウンド、駐車場等
事業期間:H26~R14(事業着手時:H26~H32)
事業内容の変更状況とその要因
「宮城県広域防災拠点基本設計(案)」制定
平成28年10月、現仙台貨物駅用地の土地売買契約を締結。登記完了。
その後の現地調査の結果(事業費増の原因として上げられている項目)
国道4号函渠工事の補助工法の追加。
進入路のルート変更
農耕車通路の立体交差化(アンダーパス)
埋蔵文化財調査
鉄道工事・アンダーパス工事の工程精査
物価高騰
結果として、工期及び事業費の変更が生じた
事業費: 422億円(事業着手時:300億円)

(2023/12/11)

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