投稿「3.11リレートーク ~ひとりひとりが大事にされる復興を~」


3.11リレートーク ~ひとりひとりが大事にされる復興を~

東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター

2024年03月11日、一番町平和ビル前 

東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター世話人、宮城県保険医協会顧問  北村 龍男

 東日本大震災復旧・復興支援県民センターでは、昨年から3月11日に一番町平和ビル前で、リレートークをおこなっています。今年は11団体からのトークがありました。以下の文章は、筆者の発言を整理したものです。

 東日本大震災から13年経ちました。改めて、犠牲になった方、被災された方にお見舞い申し上げます。
毎年3月なると当時を思い起こしますが、今年は元旦に能登半島地震が起こり、一層当時を考えます。いろいろな課題がありますが、避難所運営・トイレ問題、医療費窓口負担について述べます。

避難所の運営・トイレ問題、多様性に対する配慮が必要
 東日本大震災後の取り組みや男女共同参画が進む中で避難所のあり方についても方針が明示されています。

〈避難所運営〉
 「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン(以下、ガイドライン)」では避難所の運営体制は次のように示されています。
① 管理責任体制には男女両方を配置する。
② 運営組織の役員に女性が3割以上参画する。
③ 運営組織には多様な立場の代表が参画する。
今回の能登半島震災では、男女共同参画の課題が当初から、国会などでは細々ながら取り上げられました。しかし、現地での取り組みは追いついていないようです。避難所の運営については、女性参加が強調されています。このような観点での報道は無いようですし、石川県保険医協会に問い合わせましたが、そういう取り組みは無いだろうとのことでした。

参考:全国1741自治体のうち、全体の61.9%(1078自治体)で防災担当の部署に女性職員「ゼロ」(22年5月現在)

〈避難所のトイレ〉
 避難所のトイレは、 ”少ない、不衛生、暗い”。 膀胱炎、脱水症、エコノミー症候群、性暴力のリスクがあると言われてきました。
東日本大震災をはじめとする災害を通じて、また男女共同参画の取り組みを通じて、「多様性の視点」が必要とされてきました。「ガイドライン」の避難所トイレのチェックリストでは、以下のような項目が上げられています。
① 安全で行きやすい場所。
② 女性トイレと男性トイレは離れた場所。
③ 女性トイレ:女性用品・防犯ブザー、女性用を多めに。
④ 男性トイレ:尿取りパッド
⑤ 多目的トイレの配置
⑥ 洋式トイレの配置
⑦ 屋外トイレは暗がりにならない場所
⑧ トイレ内、経路に夜間照明
⑨ 錠
しかし、報道で見る限り、これらの要件は満たされてないように思います。東日本大震災の教訓、男女共同参画の活動は活かされていると言えません。3.11を忘れないだけでなく、その間の運動成果をいかせる様に県民センター、保険医協会は活動を続けます。

〈参考〉 内閣府男女共同参画局「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」

医療費窓口負担の免除

東日本大震災での宮城県での要件の変遷
・11年6月まで 窓口での申請により免除対象となった。
・11年7月以降 要件は、1)全壊、大規模半壊、半壊、2)生計維持者に収入なし。
・12年3月以降 国は継続を保険者の判断に委ねた。多くの社保は継続を取りやめた。
・12年9月以降 国は特別措置による免除を取りやめた。全県の国保、高齢者広域連合は国保44条などの災害措置で継続。被災自治体が2割を負担することになった。
・13年4月以降 県は免除継続を取りやめ、市町村・広域連合も継続を取りやめた。
・14年4月以降 免除再開。要件は、1)全壊、大規模半壊、2)非課税世帯に絞られた。
・16年4月以降 免除継続は9市町村のみとなった。。

東日本大震災での教訓
・住まいと生業が再生できないなかで、免除は被災者の健康を守る上で大きな役割を果たしました。
・免除継続の取りやめは、免除対象者であった人々に、不安・混乱・怒りをもたらしました。
・免除廃止は、一部の被災者に受診抑制をもたらし、あるいは一層の困窮をもたらしました。
・国保・社保の対応の違い、要件の厳格化により、免除を巡って県民の間に分断をもたらされました。その結果、免除継続者に対するバッシングも見られた。また、岩手・福島の免除継続は不公平感を募らせることになりました。
・窓口負担金「ゼロ」は、医科・歯科とも必要な医療を受けられる条件をつくることが明らかでした。窓口負担金は受診抑制をもたらします。窓口負担金「ゼロ」が社会保障本来の姿です。私たちは窓口負担の減額、「ゼロ」を目指して活動を続けます。

能登半島地震では・・。東日本大震災よりも後退している。
1)石川県での医療機関などの窓口支払いの猶予または免除は以下の通りです。
・対象:市町村国保、後期高齢者広域連合、介護保険、協会けんぽ。一部の健保組合、市町村国保外国保。
・要件:住家の全半壊、全半焼、床上浸水等。主たる生計維持者が、死亡・重篤な傷病、行方不明、事業の廃止・休止、失職、無収入。
・期間:令和6年4月末まで。

 市町村国保、後期高齢者医療、介護保険は令和6年9月まで延長。尚、健保組合、    市町村国保外でも延長される場合がある。
・尚、入院時食費・居住費は猶予あるいは免除対象外。

2)医療機関へ被保険者証が提示できない場合
・氏名、生年月日、連絡先、住所等を申し立てることにより保険診療で受診することが可能。
医療費窓口負担についても、支援内容・期間は東日本大震災時よりも対応が後退しています。
東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センターは、引き続き被災者の復旧・復興に取り組むとともに、明らかになった教訓を今後の災害に活かすよう活動を続けます。

 2024/03/12

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