みやぎ反核医師・歯科医師の会声明


日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞受賞にあたり、みやぎ反核医師・歯科医師の会は下記の通り声明を決定しました。

                               2024年10月15日

                   声明

2024年10月11日ノーベル賞委員会は2024年のノーベル平和賞を日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)に授与することを決定・発表しました。被爆者の方々の苦しみ、核兵器のもたらす惨禍と非人道性を世界に訴え続け、核兵器廃絶運動を牽引してこられた被団協の皆様に対し、心よりお祝いの言葉と共に敬意を表します。

このノーベル平和賞受賞は核兵器廃絶への強いメッセージとなることは明らかです。いま世界の各地で戦争や紛争が勃発し、罪のないかけがえのない命が奪われています。そしてこの情勢を利用するかのように、新たな核兵器の開発や、核兵器使用をちらつかせた侵攻、核共有議論などが行われています。これは世界を・人類を破滅へ導く愚かな行為・思考であると言わざるを得ません。今回のノーベル平和賞受賞における受賞理由の中では「核のタブー」という言葉が繰り返し述べられています。そして国連の軍縮担当上級代表がそれを受け「核兵器を二度と使ってはならないという“核のタブー”の規範の維持は国連にとって最優先で緊急の課題だと述べています。この「核のタブー」という意識を世界が共有し、確立できるかが非常に重要なことであると我々は考えます。

我々「みやぎ反核医師・歯科医師の会」はこのノーベル平和賞受賞発表の1週間前に映画「はだしのゲン」上映会を開催しました。参加者からは「核兵器廃絶」「反核・平和」を訴える感想が多く述べられました。我々もこのような活動を継続、拡大し「核のタブー」という意識を確立するために訴え続けていかなければいけません。様々な人と仲間と手を繋ぎ、その繋いでいく手が少しずつ拡がり、やがて世界中の人の手がつながり大きな平和の輪になるように。

私たち「みやぎ反核医師・歯科医師の会」はここに改めて日本国政府に対し以下の内容を強く要求します。

                    

2024年、日本被団協のノーベル平和受賞を受け、世界は核兵器廃絶という人類共通の人道的目標に大きな一歩を歩みださなければならないことが示された。「核のタブー」を確立するため、日本国政府に対し以下を強く要求する。

一、 速やかに核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバー参加すること。

一、 世界唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約に署名・批准し、そのうえで核保有国と非核保有国との橋渡し役として、核なき世界に向けた取り組みを行うこと。

以上

以下に日本被団協に対してのノーベル平和賞受賞理由全文(和訳)を掲載します。全てがここに凝縮されている素晴らしい内容です。是非お読みください

2024年ノーベル平和賞 受賞理由全文(和訳)

ノーベル賞委員会は2024年のノーベル平和賞を日本の組織「日本被団協」に授与すると決定した。広島と長崎における「ヒバクシャ」としての草の根の運動が、世界から核兵器をなくす努力と、目撃者として核兵器は二度と使われてはならないと証言によって示し続けてきたことを評価したものである。

原爆攻撃が行われた1945年8月以降、核兵器の使用が人類に壊滅的な結果をもたらすことへの意識を高める世界的な運動が巻き起こった。それはしだいに、核兵器の使用は道徳的に受け入れられないという国際的な規範へと発展した。この規範は「核のタブー」として知られることになる。

 この大きな文脈の中で、広島と長崎で生き延びた被爆者の証言は独特なものである。

 これら歴史の証人たちは、個人の体験を語ることで啓発運動を展開し、核兵器の拡散と使用に対する喫緊の警告を発することで世界に核兵器への広範な反対運動を生み出し、強化することに貢献してきた。被爆者は、私たちが言葉では表現できないことを言い表し、考えられないことを考え、核兵器がもたらす計り知れない苦痛と痛みを理解する助けとなっている。

 ノルウェーのノーベル賞委員会は80年近く核兵器が使われていない事実に勇気づけられている。日本被団協と被爆者を代表する人たちの並外れた努力は、核のタブーを確立することに大きく貢献した。それでも今日、核のタブーは圧力にさらされている。

 核保有国は核兵器の近代化と改良を進めており、新たな国が核兵器の保有に向けた準備を進めている。そして進行中の戦争においても核兵器が使われる恐れが生じている。人類史上におけるこの瞬間、核兵器が何であるかを思い起こす必要がある。核兵器は、世界がこれまでに見た中で最も破壊的な兵器であるということである。

 来年は、アメリカの原子力爆弾が広島と長崎の住民約12万人を殺してから80年目となる。人々が焼け死に、その後何カ月や何年もの間、同じくらいの人々が放射線による障害に苦しめられた。今日の核兵器は、当時よりもはるかに強力な破壊力を有する。核兵器は数百万人を殺傷し、気候に壊滅的な影響を与える可能性を持つ。核戦争は私たちの文明を破壊しうるのである。

 広島と長崎の烈火を生き延びた人々の運命は長期間にわたり隠され、無視されてきた。1956年、被爆者は太平洋での核兵器実験の被害者とともに日本原水爆被害者団体協議会を結成した。この名称は日本語では日本被団協と略され、日本で最大かつ最も影響力のある被爆者団体となった。

 アルフレッド・ノーベルの核心は、献身的な個人が変革をもたらすことができるという信念である。今年のノーベル平和賞を日本被団協に授与するにあたり、ノルウェー・ノーベル委員会は、肉体的な苦しみや辛い記憶にもかかわらず、その経験を平和への希望と関与を育む道を選んだすべての生存者に敬意を表したい。

 日本被団協は、何千もの証言を提供したほか、決議やアピールを発表し、毎年国連やさまざまな平和会議に代表団の派遣を通して核軍縮の必要性を世界に訴えてきた。

 いつの日か被爆者は、歴史の証言者として私たちの前からいなくなるだろう。しかし、確固たる文化と継続的な取り組みにより、日本の新しい世代は証人たちの経験や目撃証言を伝え続けている。彼らは世界中の人々を奮い立たせ、教育している。こうして、彼らは人類の平和な未来の前提となる核のタブーの維持に貢献しているのである。

 2024年のノーベル平和賞を日本被団協に授与するという決定は、アルフレッド・ノーベルの遺言にしっかりと根ざしている。日本被団協は、委員会がこれまでに授与してきた核軍縮の擁護者たちの名誉ある平和賞のリストに加わることになる。

 2024年のノーベル平和賞は、人類に多大な利益をもたらす取り組みを表彰したいというアルフレッド・ノーベルの願いを実現するものである。

 オスロ、2024年10月11日

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