シリーズ「女川原発廃炉への道」
女川を核のゴミ捨て場にさせるな
公害環境対策部員 宇根岡 實
東北電力は今年2月、女川原発敷地内に乾式貯蔵施設2棟を設置する計画を公表した。
新しい貯蔵施設が必要となる背景は全国の原発共通の課題である。これまで政府、電力会社の計画では使用済み燃料は青森県六ヶ所村の再処理工場に運び、再び使える燃料に加工して各原発に戻すという核燃サイクルを考えてきた。しかし、この再処理工場が1993年の着工以来、本年で27回目の延期となり、竣工のめどが全く立っていない。その為、各原発の燃料プール(湿式)には、使用済み燃料が貯まり続け、空き容量がなくなり、原発を運転できない状況になりつつある。
女川原発2号機の使用済み燃料プールは貯蔵容量が2240体で管理容量が原子炉に装荷される燃料560体を引いた1680体である。1995年営業運転を開始し、稼働を停止した2011年3月11日までの約16年間で燃料集合体は1160体を交換、1号機で使用した燃料を一部合わせて、現在1263体が貯蔵されており、従って空き容量は417体だけである。(参考 原発問題住民運動宮城県連絡センター24年度総会資料)
女川原発2号機の場合、原子炉に560体の集合燃料体を装荷して運転する。1年3カ月運転して、約3カ月間の定期点検を行うことを1サイクルとするが、1サイクルで使用済み核燃料が130体発生するので、3サイクルでほぼ満杯となり、再稼働できなくなる計算となる。乾式貯蔵施設の建設が急がれる理由がここにある。
乾式貯蔵施設は核施設であり、危険な施設であることは言うまでもない。市民団体は住民説明会を行うよう要望しているが、宮城県、東北電力は対応しようとしない。住民軽視であり、無責任であると言わざるを得ない。
更に懸念されるのが、核燃サイクルは破綻しており、使用済み核燃料の搬出先が決まっていないことであり、女川原発が核のゴミ捨て場となる可能性もあると考えられる。
青森県では今年9月までの操業開始を目指す使用済み核燃料中間貯蔵施設について、宮下青森県知事と斎藤経産大臣と搬出先の明確化ならびに貯蔵期間を50年間とする安全協定を結んでいる。
乾式貯蔵施設は原発の再稼働及び延命に手を貸すだけであり、核のゴミを増やす存在に過ぎない。従って建設には反対であることは言うまでもないが、青森県に比べて、宮城県と東北電力の対応はあまりにお粗末である。
本稿は宮城保険医新聞2024年10月5日(1851)号に掲載しました。