シリーズ「女川原発廃炉への道」
廃炉は政治変革から(企業団体献金廃止の観点から)
理事 島 和雄
東北電力女川原発2号機の再稼働がスタートした。今の科学技術をもってすれば原発稼働は安全であり、電力の安定供給と地球温暖化対策として必要であると言う。国は蓄電技術の開発や配送電線網の拡充などには消極的である。避難計画に限ったことではないが、原発が国策であるにもかかわらず安全対策は地方や民間に丸投げ状態で、実効性無しである。原発に潜む大規模災害には目を瞑り、収益増と既得権益維持のために、何が何でも原発を稼働するのだという「強い意志」を原発推進者の中に感じる。
電源の安定供給も、二酸化炭素排出問題も、さらなる再エネ推進と配送電システムの改良・蓄電方法の開発により、原発抜きで解決可能だと思う。再エネ開発は経済波及効果も高く、原発の危険性を考慮すると、もはや原発を稼働させる意味は無い。
『人新生の資本論』の著者 斎藤幸平氏は、温室効果ガスに代表される地球温暖化・気候変動等地球危機対策は、成長型経済との決別無くしては考えられないと結論付け、エピローグの中で「脱経済成長コミュニズム」が唯一の選択肢だと言い切っている。これは現在の経済構造を根本から変えなければならないことを意味する。
しかしながら原発を中心とした成長型経済を目指している政官財に、現在の経済構造を根本から変える気はなく、原発稼働の意志以外、見えてこない。以前にも述べたが、政官財のうち我々が替えることができるのは「政」だけである。その「政」が企業団体献金を受けて政治をしている。献金先の企業団体のために政治を動かそうとするのは至極当然だ。その企業団体こそ原発稼働を経済活動の要としている「原子力ムラ」の懲りない面々なのだ。
廃炉を含めた脱原発への道は、企業団体献金を廃止すること、そして企業団体献金を受けて政治を担っている為政者を替えることが第一歩と、私は考える。
本稿は宮城保険医新聞2024年11月25日(1854)号に掲載しました。