緊急要請「法案の根拠はもはや崩れました 『医療・介護総合法案』の採決を強行せず、 廃案を求めます 」


医療・介護総合法案について、6月17日、参議院厚生労働委員会で採決が強行されようとしていることに対し、当会は下記の要請書を内閣総理大臣、厚生労働大臣、参議院厚生労働委員と県選出の国会議員へ提出しました。

内閣総理大臣 安倍晋三 殿
厚生労働大臣  田村 憲久 殿
参議院厚生労働委員各位国会議員各位

2014年6月16日
宮城県保険医協会
理事長 北村龍男

緊急要請

法案の根拠はもはや崩れました
「医療・介護総合法案」の採決を強行せず、廃案を求めます

 貴職におかれましては、日頃より果たされている重責に心より敬意を表します。
 参議院での審議が始まった「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(以下、総合法案)」は、わずかな審議時間のまま、会期末までの成立が狙われています。
 同法案は、医療法や介護保険法など、個別に徹底審議の必要ないくつもの重要項目を一括して審議するという前代未聞の法案です。法案の内容も効率化の名の下に患者を入院から在宅へ、施設から地域へと押し出して、医療機関の受診や介護サービスの利用を削減する内容となっております。このような法案が成立すれば、公的保険の範囲が狭められ、医療難民・介護難民がさらに生み出されることは必至です。そのため、私たちは反対の立場をとっております。
 参考人質疑や地方公聴会をのぞくと、衆議院では29時間、参議院では22時間しか審議が行われていません。その中でも、訪問・通所介護の自治体移管によって、必要とする専門的介護が受けられなくなる、強引な医療提供体制の再編によって、医療現場に混乱をもたらしかねないなど、法案の問題点が次々と明らかになりました。
 さらに参議院では、厚生労働省が作成した資料の誤りなどが続き、審議がたびたびストップしています。6月10日の厚生労働委員会では、介護保険の利用料引き上げの根拠とされたモデル世帯の消費支出データをめぐって、厚生労働大臣が、支出を引いても「約60万円残る」ので負担は可能というこれまでの説明を全面的に撤回する事態となりました。この一事だけをとっても、法案の根拠が破綻していることは明らかです。そもそも貧困と格差に喘ぐ国民に対し、さらに所得再分配を否定する社会保障制度破壊は許されるはずがありません。
私たちは、国民のいのちと健康を守る医師・歯科医師として、医療・介護総合法案の参議院厚生労働委員会での採決強行をしないよう強く求めます。さらに審議を尽くすべきで、今国会では廃案にすることを求めます。

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