理事会声明「誤った資料と不十分な審議で『医療・介護総合法』を可決、成立させたことに強く抗議する」


6月18日の参議院本会議において与党の賛成多数で可決、成立した医療・介護総合法に対し、当会は下記の理事会声明を発表しました。声明は内閣総理大臣、厚生労働大臣、衆参両院校正労働委員会委員、宮城県選出の国会議員へ送付しました。

内閣総理大臣 安倍晋三 殿
厚生労働大臣  田村 憲久 殿
衆議院厚生労働委員各位
参議院厚生労働委員各位
国会議員各位

理事会声明

誤った資料と不十分な審議で
「医療・介護総合法」を可決、成立させたことに強く抗議する

 「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(以下、医療・介護総合法)は、18日の参議院本会議において採決が強行され、自民・公明両党の賛成多数で可決、成立した。
 医療・介護総合法は、医療法や介護保険法など 19 本もの重要法案を一括するという異常なもので、参議院本会議では全野党が反対し、討論においては「国会軽視の暴挙」「国会の審議権を奪うもので、立法府の責任が果たせない」と強く抗議する意見が相次いだ。
 私たちはこの間「徹底した審議を」と繰り返し要請してきたが、参考人質疑や公聴会を除くと衆議院では 28 時間、参議院では27 時間しか審議が行われず、政府・与党による成立ありきの強引な国会運営が行われた。衆参両院の委員会採決時には、全野党から審議継続の要求が出されたにもかかわらず、採決が強行された。こうした乱暴な国会運営は議会制民主主義を破壊し、国民の国会に対する信頼を著しく失墜させるものであって決して許されるものではない。まずこの点について抗議するものである。
 医療・介護総合法は、短時間の審議の中でも訪問・通所介護の自治体移管によって必要とする専門的介護が受けられなくなる、強引な医療提供体制の再編で大幅に病床が削減されかねないなど、問題点が次々と指摘された。特に参議院では、厚生労働省が作成した資料の誤りなどが続き、審議が度々ストップした。6月 10 日の厚生労働委員会では、介護保険の利用料引き上げの根拠とされたモデル世帯の消費支出データをめぐり、厚生労働大臣が、「支出を引いても約 60 万円残るので負担は可能」というこれまでの説明を全面撤回する事態となった。この一事だけでも、法案の根拠が破綻していることは明らかであった。そもそも同法は、「自助・自立」を第一として社会保障に対する国の責任を放棄し、効率化の名の下に国民を入院から在宅へ、施設から地域へと押し出して、医療機関への受診や介護サービスの利用を削減する内容となっている。このような法に則って行われる施策では、公的保険の範囲が狭められ、医療難民・介護難民がさらに生み出されることは必至である。このまま同法の具体化が推し進められれば、患者・国民は地域で安心して暮らすことができなくなる。
 当会は、医療・介護総合法の強行採決に抗議するとともに同法の廃止を強く求め、引き続き運動をすすめることを表明する。

2014年6月19日
宮城県保険医協会
第1回理事会

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