国民の過半数が反対しているというのに、安全保障関連法制が、7月15日に衆議院の特別委員会で強行採決された。安倍政権は「国民の理解が進んでない」と嘆き、「ていねいに説明する」必要性を述べながらの強行であった。こんなむちゃくちゃが通るのであれば、世は絶望だ。しかし、その後の、国民の反対運動の高揚は、政権の横暴を許さないという、国民の憲法に対する意識の向上に支えられたものだと思う。
ファッショ的な政権が、国民の声に耳を傾けることもなく、憲法違反の法案をごり押ししてきたことから、改めて日本国憲法の価値を学びなおしてみたくなったのは、私一人では無いように感じている。
作家の井上ひさしさんが9年前に「子どもにつたえる日本国憲法」という本を出している。平和憲法の精神を子どもにも読める言葉に「翻訳」したもの。分かり易くしかも感動的である。一部を引用させていただく。(原文にはふりがながある)
~もう二度と戦はしない(第九条)~
私たちは、人間らしい生き方を尊ぶという
まことの世界をまごころから願っている
人間らしく生きるための決まりを大切にする
おだやかな世界を
まっすぐ願っている
だから私たちは
どんなもめごとが起こっても
これまでのように、軍隊や武器の力で
かたづけてしまうやり方は選ばない
殺したり殺されたりするのは
人間らしい生き方だとは考えられないからだ
憲法違反の戦争法案だと思う。こんな法律を通させてなるものかと強く思う。だからこそ、その時の自らの立脚点をしっかりしたものにしておきたい。憲法の理解をしっかりしたものにしておきたい。それを基礎にして、さらに、未来を担う人たちに分かり易い言葉で話しかけなければとも思う。
安倍政権は、社会保障の削減策を次々と打ち出すなど、基本的人権もおろそかにされている。これも憲法の問題だ。政府が憲法を守ろうとしていない。憲法九十九条違反だ。みんなで声を揃えて「国務大臣は…この憲法を尊重し擁護する義務を負う」のだぞ!と迫っていきたい。
国民の多くが「平和」を考えるこの8月。私たち宮城県保険医協会は、いのちを守ることにいつまでも真剣でありたいと願っている。