市民による女川原発の安全性を問うシンポジウム(2016.5.29)報告


市民による女川原発の安全性を問うシンポジウム

原発事故が起きたら逃げられるのか
避難計画の課題を検証

 5月29日、仙台国際センターで「市民に女川原発の安全性を問うシンポジウム」が開催され約630人が参加しました。協会からは井上理事長と事務局が参加しました。
 このシンポジウムは、「原発事故が起きたら逃げられるのか」をテーマに避難計画の問題点を検証しようと脱原発をめざす宮城県議の会などが企画したものです。
 福島県浪江町長の馬場有氏は基調講演で、福島第一原発事故の当初、事故後は住民がバラバラに避難し、混乱したと話しました。事故直接の情報伝達の不十分さを問題だとして、国の指示を待つのではなく、町の判断で避難指示を出せる態勢を作る必要性などを示しました。
 続いて、環境経済研究所代表の上岡直見氏が「原発避難計画の実効性を問う」と題したテーマで講演。主には震災時の車両渋滞や緊急輸送路等の困難な側面を福島原発事故や熊本地震の実態をもとに報告しました。
 パネルディスカッションでは、福島第一原発事故当時、福島県田村市で障がい者自立支援施設を運営していた鈴木絹江氏が、国の指針による屋内退避指示に関して「障がいを持っている独居者や高齢者は真っ先に避難が必要。介護ヘルパーも来られない状況下では餓死してしまう」と説明しました。 また、石巻市の避難計画を策定している二上洋介総務次長は石巻市の広域避難計画の概要を報告。自治体ごとに計画の策定を義務付けている国の方針を問題視し、国や県が先頭に立って一つの計画をつくるべきだと強調しました。
 参加者から、「実効性のある避難計画は困難として、原発再稼働を止める運動を強化すべき」との意見が出されました。それに対し、シンポジストを務めた宮城県議会議員の中嶋廉氏は、「原発に賛成でも反対でも、宮城県に女川原発(使用済み核燃料)がある限り、実効性ある避難計画をつくることは必然」との見解を示しました。
 最後に宮城県議会議員の菅間進氏が、脱原発をめざす県議の会の説明と、今後も女川原発の安全性に関する諸課題について、多くの方と一緒に考えていきたいとあいさつしました。

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