当会は、3月29日、下記の通り声明を発表し、同日、外務省に送付しました。
核兵器禁止条約交渉に参加し積極的な役割を果たすことを求める声明
3月27日から、核兵器禁止条約の交渉がニューヨークの国連本部で始まりました。
核兵器を法的に禁止する条約はこれまで存在しておらず、成立すれば歴史的な一歩を刻むものとなります。しかし、アメリカをはじめとする核保有国は交渉に参加していません。そして日本は、「核軍縮は核兵器の保有国と非保有国が協力して行うことが不可欠」「建設的で誠実な形で交渉に参加することは困難」として、このあとの交渉には参加しないことを明らかにしました。唯一の核兵器被爆国である日本が禁止条約成立に反対し、交渉に参加しないことに、失望の念を禁じ得ません。
米国国連大使は「現実的になるべきだ。北朝鮮がこの条約に同意すると信じる人がいるだろうか」と述べたとのことです。保有国は、その時々、様々な理由をつけて核兵器廃絶に逆行する姿勢を繰り返してきました。現実的対応とは、核保有を合理化する論理でしかないことは明らかです。破滅的に厳しい現実があるからこそ、英知を集め、すべての国の努力が求められているのです。とりわけ日本政府の態度は、自ら自認してきた「核保有国と非保有国の橋渡し役」さえ放棄するものであり、壊滅的な打撃を受け、長く放射能被害に苦しんでいる広島、長崎の被爆者、平和を願い続けてきた日本国民への最大の冒涜と言わざるをえません。
当会は、核兵器禁止条約の交渉が始まろうとするまさに歴史的な瞬間に、唯一の戦争被爆国の政府として、核兵器廃絶のために、その先頭にたって、あらゆる努力を惜しまず、積極的な役割を果たすことをあらためて強く要望します。
2017年3月29日
核戦争を防止する宮城医師・歯科医師の会