談話
住民税通知の誤送付等によるマイナンバー漏えいに係る総務省の責任を問う
宮城県保険医協会 経営税務部長 熱海 順
自治体が事業所に送付する住民税特別徴収額決定通知書に従業員のマイナンバーが記載される問題で、通知書の誤送付等によるマイナンバー漏えいが相次いでいる。報道等によれば宮城県内ではこれまでに5自治体が漏えいを発表した。全国では55に上り、少なくとも329人分のマイナンバーが流出することとなった。
通知書へのマイナンバー記載は実務上不要であり、マイナンバー漏えいの危険性を高めるだけと強く指摘されていたにもかかわらず、マイナンバー記載を強引に進めた総務省の責任は重いといわざるをえない。
しかも、漏えいが相次ぎ発覚している中でも、総務省は重ねてマイナンバー不記載による通知書送付は認められないとの通知を出した上、漏えい事案が発生している現状についてコメントもしていない。今回のマイナンバー漏えい事態に第一義的に責任を負うべき立場にあるにもかかわらず、その無責任な姿勢に憤りを覚えるものである。
この間、当会は、県内の市町村に対してマイナンバー記載の中止等を申し入れるとともに、市町村の対応を調査し、マイナンバー記載中止等を要請してきた。県内では仙台市と富谷市が不記載としたが、全国の保険医協会などが行った調査では、回答した504自治体のうち一部記載・不記載などとした自治体は4分の1を超えている。
調査では、書留郵便等に伴う費用負担増、時間外業務や他部署動員などの業務負担増が聞かれ、総務省が自治体にマイナンバー記載に伴う業務・責任を一方的に強いる姿勢が、自治体現場に様々な矛盾をもたらしていることがうかがえる。地方税財政の在り方にも影響力を持つ総務省が、「法令遵守」を盾にマイナンバーを記載するよう自治体への締め付けを強めてきた。にもかかわらず、不記載等の自治体が、政令指定都市はじめ多く広がったことは、記載に伴う問題点と危険性を指摘する声の高まりとともに、住民の権利と福祉を第一義的に考える自治体現場の見識が示されたものである。
今回のマイナンバー漏えい事態に対する総務省の責任を強く指摘するとともに、改めて私たちは通知書へのマイナンバー記載の中止を強く求めるものである。また、行政機関でのマイナンバー収集・利用がなし崩し的に広がらないよう注視していくともに、マイナンバー制度の廃止を強く求めるものである。