新型コロナウイルス感染症に関する労務関連Q&A
Q:新型コロナウイルスのスタッフや患者さんへの感染が怖いので、診療所を2カ月程休診にしようと思う。スタッフは全員パートなのだが、給与は支払わなければいけないか。
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A:予防的休診は現在のところ、事業主都合と判断される可能性が非常に高く、労基法上では60%の給与の支払いが求められます。厚労省の見解では、できる限り100%の給与支払を求めています。従業員からも要請があれば、助成金の活用や、有給休暇の消化などを話し合いの上で決めましょう。
Q:従業員から倦怠感があるため、当分の間、休みたいという申請があった。この 場合、給与の支払いはどうなるか。
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A:従業員からの申し出の場合は、給与支払の義務はありません。休みたいという申し出があった場合は、有給休暇を取得するか、有給休暇日数がなければ欠勤扱いで問題がないかなどの確認はした方が良いでしょう。
Q:政府から診療所閉鎖の指示がおりた場合や、自粛による売り上げ不振で休診 する場合、従業員に対しての給与の支払いはどのようになるか。
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A:現在の法律では指示はできませんが、今後緊急的にそのような状況になった場合は事業主都合とは言えない状況になりますので、給与の支払い義務はなくなる可能性が高いです。また、厚労省の見解では、自粛による売り上げ不振での休診については、休業手当の支払い義務を課すことは難しいとしており、日本労働弁護団は最終的に裁判所の判断になるとしています。
Q:新型コロナウイルスの影響で患者が激減し、4月から採用予定だったスタッフの採用を見送らなければいけなくなった。こちらから採用通知は郵送してしまったが、取消はできるか。
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A:厚生労働省の指針では、内定取り消しの対象となった人に対し、就職先の確保について最大限の努力を行うとともに、内定取り消しを受けた人への補償等の要求には誠意を持って対応することとされています。一切のフォローがなく、法律上補償も必要ないと決めつけて、一方的に内定取り消しを行うことは 労働訴訟に発展しかねません。苦しい状況なのは理解できますが、内定が決ま っていた人は翌月からの所得が一切なくなり、生活もままならなくなってしまうこともよく考えて、必ずアフターフォローは行ってください。
Q:今回のコロナウイルス感染症の影響で、診療所の開院時間を変更したい。従業員も時差勤務をお願いする。手続きはどのように行うべきか。
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A:診療所の時間変更については、保健所と厚生局に届出が必要です。長期にわたる変更である場合は、必ず届出をしてください。従業員の方に対しては、労使協定を結んだ上で行う必要があります。今回のコロナウイルス感染症に伴う業務時間変更に関しては、既に1年間の36協定を結んでいる場合でも、特例的に変更を認めています。
本稿は東京歯科保険医協会のホームページから掲載しました。