シリーズ「女川原発廃炉への道」No,15


シリーズ「女川原発廃炉への道」

二つの地裁判決に注目する

理事長 井上 博之

 裁判官は頭の堅い人。そんな私の浅はかな思い込みを覆されてしまいました。二つの裁判に注目しました。

① 2014年5月21日の福井地裁判決です。関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じました。裁判長は、昨年9月12日、当会の公開講演会でお話しいただいた樋口英明氏でした。原発が如何に危険極まりないものか、独自に十分調査したうえで結論を下されました。講演では、分かりやすい言葉で解説していただきました。詳しくは今号まで5回連載の講演録をお読みください。
② 昨年12月4日の大阪地裁判決です。同じ大飯原発の耐震性をめぐり原子力規制委員会の設置変更許可を取り消しました。現実に起こりうる地震の強さの検討が十分にされておらず、「看過し難い過誤、欠落がある」と判示されました。

 それぞれの原発は「基準地震動」を設定しています。女川原発2号機の耐震設計は東北電力によると1000ガルとなっています。そこで樋口氏に倣って、宮城県とその周辺の過去の地震をガルで表示しました。気象庁のデータが整った2000年以降に限っています。

  2003年 宮城県北部沖地震 1571ガル
  2008年 岩手宮城内陸地震 4022ガル
  2011年 東日本大震災 2933ガル

 一目瞭然です。1000ガルというのは震度6強に当たります。先月13日に蔵王町で観測されました。「原発が壊れるような地震はめったにない」と、のほほんとしていてよいのでしょうか。規制委員会のお墨付きを絶対視するような人たちの、再稼働同意はとても認められません。

 

本稿は宮城保険医新聞2021年3月15日(1744)号に掲載しました。

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