要望書「新型コロナウイルス感染症拡大から国民の命・健康と地域医療を守るための緊急支援を求める」


内閣総理大臣 菅  義偉 様
財 務 大臣 麻生 太郎 様
厚生労働大臣 田村 憲久 様
経済産業大臣 梶山 弘志 様

2021年7月15日
宮城県保険医協会
理事長 井上博之

新型コロナウイルス感染症拡大から国民の命・健康と
地域医療を守るための緊急支援を求める要望書

前略 新型コロナウイルス感染症対策に対するご尽力に敬意を表します。
宮城県保険医協会は、6月4日から医科の開業医会員619名に「新型コロナウイルス感染症に関するアンケート調査(第4回)」を実施し、6月20日までに87名から回答を得ました(回収率14.1%)
 集計の結果、新型コロナワクチン接種に関して半数以上が個別接種・集団接種を実施・検討していることがわかりました。また、5月の外来患者数・保険診療収入とも、2020年同月と比べ「増えた」という回答が3割程度あったものの、「減った」との回答も同程度あること、また2019年同月との比較では「減った」という回答が7割にのぼっており、厳しい状況が続いている医療機関が多いことが明らかとなりました。また、国・自治体からの補助金については、「補填にならなかった」との回答が36.8%あり、4月から初・再診料が5点引き上げられたことについて、点数が低いこと、そもそも患者減となっていることから「評価できない」との回答が46.0%という結果になりました。
 感染再拡大が懸念される中、ワクチン接種体制の見直しや地域医療を支える全ての医療機関へさらなる物的・経済的支援が求められます。当会は国民の命・健康と地域医療を守るため、下記の事項を求めます。

新型コロナワクチン接種体制

一、新型コロナウイルスワクチン接種の相談・予約体制、情報提供について

⑴ 疑問や相談に対応するコールセンターの電話回線および対応職員を増やし、不安や疑問に応えること。個別医療機関での混乱を軽減する対策を講じること。

⑵ 新型コロナウイルスワクチンの特性、有効性、安全性等、副反応事例も含めた最新の情報および接種対象群別の接種時期および接種に向けた手順、接種後の留意点等を平易にわかるように情報提供をおこなうこと。

⑶ 新型コロナウイルスワクチン供給に関する情報の透明性の確保と情報の統一化に努め、接種現場で混乱が起きることのないよう根拠に基づく確実な情報提供をおこなうこと。

⑷ 本人の同意が得られない認知症患者その他の者に対して、家族の同意によるワクチン接種を認め、そのことを周知すること。

一、新型コロナウイルスワクチン接種費用について

⑴ 接種費用は少なくとも初診料と同額(1回につき2,880円)とし、時間外や休日に実施する場合は、初診料の時間外加算(850円)、休日加算(2,500円)と同額を上乗せすること。訪問診療とは別日に在宅においてワクチン接種を行う場合は、往診と同額を接種費用とすること。外来診療を実施する日にワクチン接種をおこなう場合は、ワクチン接種費用とは別に、再診料・外来管理加算等が診療報酬で算定できるようにすること。これら取り扱いは、4月に遡及すること。

一、有害事象・副反応への対策の強化について

⑴ ①有害事象・副反応の起こりやすい人の特徴を示し、接種者の気づきを促す、②アナフィラキシーについては、起こりやすい人の特徴、はじめの症状を周知する、③有害事象・副反応に対する具体的な対応方法を周知するなど、有害事象・副反応発生時のマニュアルなどを示すこと。

⑵ 新型コロナワクチンの接種に起因した有害事象・副反応に関し、コロナ禍の「有事」を鑑みワクチンとの因果関係を問わず救済することとし、補償額を引き上げること。また、健康被害にかかる医療費は全額を公費で負担すること。少なくとも無保険者や国保資格証明書を交付された方の健康被害についても窓口負担なく医療が受けられるようにすること。

⑶ 新型コロナワクチンの接種について健康被害が生じた場合だけでなく、新型コロナワクチンの接種によることが疑われる場合、因果関係が不明な場合を含む診療・治療体制をしっかりと構築すること。

一、ワクチン接種者および非接種者への対応

⑴ ワクチンを接種しても、新型コロナウイルスに罹患する事例もある。また、有効期間もまだ不明である。このため、接種者に対して、今後も①身体的距離の確保、②効果的なマスクの利用、③手洗いや三密を避ける等の周知をさらに徹底すること。

⑵ 職場・学校等の集団生活の場においてワクチン接種者と被接種者において差別的な扱いが生じないよう、特に「接種証明」のようなもので社会的・福祉的サービス等が受けられないなどといったことがないよう、十分な配慮をおこなうこと。

地域医療を守り国民に必要な医療確保のために

一、感染拡大防止等支援補助金や発熱外来診療体制確保支援補助金(令和2年分)を早急に支給すること。

一、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金など各種支援制度を継続すること。

一、診療報酬上のいわゆる「コロナ特例」は、少なくとも来年4月の診療報酬改定まで継続した上で、同改定により恒常的な点数とし、さらに引き上げること。

一、「減収への対応を含めた経営上の支援」(骨太の方針2021)は「感染症患者を受け入れる医療機関」に限らず、地域医療を担う全ての医療機関を対象とすること。

一、感染対策支援金や医療従事者慰労金を追加支給すること。

一、低所得者および収入が減少した世帯の医療保険の保険料・窓口での一部負担金の徴収を直ちに猶予し、一定所得以下については免除すること。

一、必要な受診を控えないよう、国民に向けて積極的に広報をおこなうこと。

 

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